基幹系システムのクラウドサービス移行が進みつつある。「Azure」で「SAP S/4HANA」を動かすアステラス製薬の事例や、クラウドセキュリティの新サービスなど、クラウドに関する主要なニュースを紹介する。
基幹系システムをはじめとする、企業の重要なシステムのクラウドサービス移行が進みつつある。アステラス製薬やパナソニックが取り組む基幹系システムのクラウドサービス移行事例、クラウドサービスの設定ミスを可視化する新サービスなど、クラウドの主要なニュースを紹介する。
東京海上日動火災保険を中核とする東京海上グループは、顧客や事故などに関するデータを安全に一元管理し、分析可能にする「協創型次世代データ分析基盤」を構築して利用している。データの分析結果や社会情勢の変化を反映した商品を迅速に提供するためだ。システム設計とインフラ管理負荷を軽減するために、協創型次世代データ分析基盤にSnowflakeのクラウドDWH(DWH:データウェアハウス)であるData Cloudを採用。選定に当たっては複数のDWH製品/サービスを比較検討し、データ入力の際にクエリ(データ操作)のチューニングがほとんど不要な点、サービスの標準機能で災害対策(DR)を実施できる機能性を評価した。海外の大手金融機関における導入実績も採用を後押しした。(発表:Snowflake<2022年2月10日>)
サプライチェーンや人事、購買、会計などの処理を担う新しい基幹系システムに、ERP(統合業務)パッケージ「SAP S/4HANA」と、そのインフラとしてMicrosoftのクラウドサービス「Microsoft Azure」を採用した。基幹システムのクラウドサービス移行によって、最新技術の導入やBCP(事業継続計画)に適したインフラの構築、組織と事業の拡大に合わせた迅速なシステムの拡張を可能にする狙いだ。AzureとSAP S/4HANAの導入により、国や拠点、部門ごとにばらばらに保有していたデータをグローバルで一元管理し、可視化と業務の標準化を実現する。新基幹システムの構築支援はアクセンチュアが担当した。(発表:アクセンチュア<2022年2月25日>)
OracleのクラウドERP「Oracle Fusion Cloud Enterprise Resource Planning」とクラウドEPM(企業業績管理)「Oracle Fusion Cloud Enterprise Performance Management」を採用した。パナソニックは2000年ごろに導入した既存の会計システムを、会計制度の変更ごとに改修を繰り返しながら利用してきた。システムの肥大化や、非財務情報(財務諸表の情報以外の企業情報)の収集にかかる工数が課題となっていたことから、全社的な業務アプリケーションの刷新を決定した。Oracle Cloud ERPとOracle Cloud EPMの採用により、各グループ会社の取引データ収集を容易にすることで、会計業務を効率化。複数の事業やグループ会社のデータに基づいた多軸分析を可能にし、迅速な経営判断を目指す。選定に当たっては、一つの取引ごとに財務情報と非財務情報を収集して管理できる点や、事業や組織編成の変化に合わせて機能変更や拡張がしやすい点、SaaS(Software as a Service)として利用できる点を評価した。(発表:日本オラクル<2022年2月8日>)
AWS Backup for Amazon S3は、AWSのクラウドストレージ「Amazon Simple Storage Service」(S3)に保存するデータのバックアップと復元を自動化するためのサービスだ。データの増分を取得し、過去35日間の指定された時点のデータを復元できるようにする機能と、指定した間隔でバックアップを実行する機能を備える。AWSのバックアップサービス「AWS Backup」やアカウント管理サービス「AWS Organizations」と組み合わせて利用することで、ユーザー企業内でのバックアップポリシーの統一が容易になる。利用料金は東京・大阪リージョン(リージョン:地域データセンター群)共に、バックアップ用ストレージが1GBにつき毎月0.06米ドル(以下、全て税別)、バックアップデータの復元料金が1GBにつき0.024米ドル。(発表:アマゾン ウェブ サービス ジャパン<2022年2月18日>)
BaaS「Metallic BaaSソリューション」はSaaSやクライアントデバイス、ファイルサーバ、クラウドストレージ、仮想マシンなどで保有するデータのバックアップを実行する。バックアップに必要な設定や操作を数ステップで実行可能なWebコンソールを備える。サービスのインフラにはAzureを使用する。バックアップ先にはAzureをベースにしたCommvaultのクラウドストレージに加えて、別のクラウドストレージやユーザー企業のオンプレミスストレージを使用できる。1ユーザー当たりの月額利用料金は、Microsoftのオフィススイート「Microsoft 365」(Office 365)向けエディションの「Metallic Office 365 Backup Essentials Edition」が540円で、クライアントデバイス内データ向けエディションの「Metallic Endpoint Backup Essentials Edition」が1125円。(発表:Commvault Systems Japan<2022年2月8日>)
Microsoft 365や「Salesforce」「Zoom」など50種類以上のSaaSの設定を可視化し、セキュリティリスクの特定と改善を支援するサービス「SaaSセキュリティ設定管理プロフェッショナルサービス」を提供開始した。同サービスはセキュリティリスクを伴う設定を特定する「SaaSセキュリティリスク可視化アセスメント」、アセスメント結果に基づいて設定不備の改善やアドバイスをする「SaaS設定改善支援」、SaaSを定期的に検査して機能追加や設定変更に伴う新たなリスクを報告する「SaaSセキュリティ運用支援」の3つのメニューを提供する。設定の検査には、セキュリティベンダーAdaptive Shieldの同名SSPM(SaaS Security Posture Management)ソフトウェアを用いる。SaaSセキュリティリスク可視化アセスメントの利用料金例は、Microsoft 365が対象の場合1回につき190万円。SaaS設定改善支援とSaaSセキュリティ運用支援の利用料金は個別見積もり。(発表:NEC<2022年2月22日>)
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契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。
半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収してから、VMware製品の永久ライセンスを廃止した。その永久ライセンスを継続する非公認の方法とは。
システム基盤をオンプレミスで運用するか、データセンターやクラウドで運用するかは、業種によって大きく異なる。調査結果を基に、活用の実態を探るとともに、最適なクラウドサービスを考察する。
SaaSサービスが普及する一方、製品の多様化に伴い、さまざまな課題が発生している。特にベンダー側では、「商談につながるリードを獲得できない」という悩みを抱える企業が多いようだ。調査結果を基に、その実態と解決策を探る。
生成AIの活用が広がり、LLMやマルチモーダルAIの開発が進む中で、高性能なGPUの確保に問題を抱えている企業は少なくない。GPUのスペック不足を解消するためには、どうすればよいのか。有力な選択肢を紹介する。
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