「Hyper-V」で学ぶ仮想デスクトップの仕組み リソースの割り当てはどうやる?仮想デスクトップの基礎知識【後編】

IT部門は仮想デスクトップ(仮想PC画面)を利用することで、さまざまなメリットを得られる。仮想デスクトップを動かす土台となるハイパーバイザーの役割を理解し、Hyper-Vを通じて仮想デスクトップ操作を体験しよう。

2025年04月28日 07時00分 公開
[Gary OlsenTechTarget]

 仮想デスクトップは仮想マシン(VM)で動作するデスクトップ環境であり、このVMを動作させるためにはハイパーバイザーが必要となる。Microsoftのハイパーバイザー「Hyper-V」を例に、どのように仮想デスクトップを操作するのか学んでいこう。ハイパーバイザーの種類についても解説する。

Hyper-Vでどのように仮想デスクトップを管理するのか

 ハイパーバイザーには大きく分けて、「タイプ1ハイパーバイザー」と「タイプ2ハイパーバイザー」の2種類がある。

 タイプ1ハイパーバイザーはホストOSを介さず、物理サーバで直接稼働する。「ベアメタルハイパーバイザー」とも呼ばれる。代表的なタイプ1ハイパーバイザーは次の通り。

  • VMwareの「VMware ESXi」
  • MicrosoftのHyper-V
  • オープンソースの「KVM」(Kernel-based Virtual Machine)

 タイプ2ハイパーバイザーは物理サーバのホストOSで稼働する。「ホスト型ハイパーバイザー」とも呼ばれる。代表的なタイプ2ハイパーバイザーは次の通り。

  • Oracleの「Oracle VirtualBox」
  • Parallelsの「Parallels Desktop」
  • VMwareの「VMware Fusion」

 MicrosoftのHyper-Vを通じて、仮想デスクトップの仕組みを深く理解できる。「Windows 10」と「Windows 11」の一部のエディションでは、以下の手順でHyper-Vを有効化できる。

  1. コントロールパネルの「プログラムと機能」を開く
  2. 「Windowsの機能の有効化または無効化」を開き、「Virtual Machine Platform」と「Windows ハイパーバイザープラットフォーム」のチェックボックスにチェックを入れる(図1)
  3. PCを再起動する
  4. 再起動後、「Hyper-Vマネージャー」を検索して開く
図表 図1 「Windowsの機能の有効化または無効化」画面(画像は筆者が取得した英語版)

 図2は、PCで開いたHyper-Vマネージャー画面で、複数のVMを一覧表示している。「クイック作成」をクリックすると、新しいVMを作成するウィザードが起動する。ウィザードでは、VMに割り当てるリソースを指定する。割り当てたリソースの分だけ、ホストOSが利用できるリソースは減少する。例えば、ホストOSに10GBのメモリがある場合、VMに4GBを割り当てると、ホストOSが使用できるメモリは6GBとなる。

図表 図2 Hyper-Vマネージャーに表示される複数の仮想マシン(画像は筆者が取得した英語版)

 割り当てたCPUやメモリ、ネットワークリソースはVMが実行中にのみ消費される。このため、ホストOSが使用できるメモリが6GBという状況でも、4GBのメモリを割り当てるVMを複数作成して停止しておくことができる。ただし、ディスク容量に関しては異なる。VMにストレージを割り当てた場合、VMが停止している間もディスク容量を消費する。これは、VMファイルがディスク上に継続して存在するためだ。多数のVMを作成したい場合は、各VMに割り当てるメモリ量を減らす必要がある(図3)。

図表 図3 VMの設定とリソースの割り当て画面(画像は筆者が取得した英語版)

 IT部門の担当者は管理ウィンドウからVMに対して、起動や停止などの基本的な操作に加えて以下のような操作が可能だ。

  • チェックポイントの作成と復元
    • ホストOSのディスク上にVMのチェックポイントを作成し、保存できる。
    • チェックポイントが存在する場合、VM起動時に保存したチェックポイントに戻るか、シャットダウン時点から再開するかのポップアップウィンドウが表示される(図4)
  • 仮想ネットワークの構築と管理
    • 仮想ネットワークを作成し管理することで、仮想ネットワーク内のVM間通信や物理ネットワークとの接続が可能になる。

図表 図4 過去のチェックポイントに戻るか、シャットダウン時点から再開するかを尋ねるポップアップウィンドウ(画像は筆者が取得した英語版)

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