診察フローに基づいた画面展開が特徴の電子カルテ「HIHOPS-HR」病院向け電子カルテ製品紹介:日立製作所

日立製作所の病院向け電子カルテシステム「HIHOPS-HR」は、治療計画パスの一覧表示や業務フローに基づいた画面展開などで院内スタッフの情報共有を促進し、効率的な診療を支援する。

2013年03月29日 08時00分 公開
[翁長 潤,TechTargetジャパン]

病院経営や業務の効率化、医療の質の向上をITで支援する日立製作所

 病院情報ソリューション「HIHOPSシリーズ」を提供している日立製作所。同社は安全、診療、経営の3つをITで支援するというコンセプト「スリーパス」に基づき、病院の経営や業務の効率向上、医療の質の向上に役立つ機能を搭載している。同ソリューションは電子カルテシステム「HIHOPS-HR」を中心に医療事務システム「HIHOPS-MA」、データ活用を支援するオプション「DWH機能」で構成される。

photo 日立製作所の野村氏

 2002年に販売を開始したHIHOPS-HRは、電子カルテやオーダリング、看護支援、リポート作成、文書管理などの機能を提供するパッケージ製品。2010年に.NETプラットフォームに変更している。HIHOPS-MAや各部門システムと連携することで、それらのデータを共通データベースに集約して一元管理でき、統計や分析などの二次利用も可能にしている。

 日立製作所の第一営業本部 医療営業部 部長代理、野村俊幸氏は「HIHOPSシリーズでは、医師だけでなく看護師、コメディカル、事務部門を含めた病院全体で患者情報を共有する“チーム医療の推進”を支援する」と語る。

院内スタッフの情報共有を支援する「ハイパーフローシート」

 チーム医療の推進には、関係者間の情報共有が欠かせない。HIHOPS-HRでは「ハイパーフローシート」機能によって、院内スタッフの情報共有を支援する。

 ハイパーフローシートは、治療計画パスにおける日々の患者情報を一画面に集約して俯瞰できる機能だ。時間軸を基準として、各スタッフの患者対応に必要な情報を一覧で表示する。各種検査の進捗状況や予定項目などを色を分けて表示。患者への指示内容やケア情報、それらの実施状況などが把握できる他、オーダーの詳細内容の確認やオーダー発行、実施内容の入力などが可能だ。

photo ハイパーフローシート画面《クリックで拡大》

 ハイパーフローシートを利用することで、オーダーの一括発行による指示漏れ、各種チェック漏れなどを防止。さらに、パスの活用や画像、検査結果の参照によるインフォームドコンセントを支援する。野村氏によると、導入医療機関から「入院患者の情報を一画面に集約しており、直感的で分かりやすい」と評価されているという。

 HIHOPS-HRでは「日めくりパス」によって1日単位の治療計画を管理する。日めくりパスでは、あらかじめ設定された達成目標値と実際の患者の状態を比較し、バリアンスの把握を支援。医師はアウトカム情報を参照しながら経過記録を入力できる。また、病棟での看護記録も表示しており、効率的なオーダー指示変更なども可能だ。

photo 日めくりパス画面《クリックで拡大》

診察フローに基づいた効率的な診療を支援

 電子カルテの作成機能について、野村氏は「診察フローに基づいた画面展開によって、医師の効率的な診療を支援する」と説明する。

 HIHOPS-HRでは、診療開始前により多くの患者情報を短時間で把握できる「患者プロフィール」画面を提供している。患者プロフィールでは、カルテ1号用紙(患者サマリー)に記載されている情報を中心に身体情報や過去の治療歴、来院状況などの患者状況を表示する。疾患リスクや身体情報のシミュレーションを行うことで、より迅速で的確な診療の実現を支援する。

photo 患者プロフィール画面。画面上部には、患者の特徴を表すアイコンや処方、検査などの各種メニューボタンが配置されている。画面に表示する項目や順番は変更可能《クリックで拡大》

 患者プロフィール画面の右側では、2つの機能を切り替えて表示する。過去6カ月または3年の来院履歴を表示する「ヒストリー」と、インデックス別にカルテ情報を表示する「カルテインデックス」だ。

photo ヒストリー画面(左)では、外来受診日をクリックすると選択した日付のカルテ情報を表示する。カルテインデックス画面(右)では、他の診療科や各部門で作成されたリポートも検索可能《クリックで拡大》

 患者プロフィールから遷移する「経過記録・オーダ発行」画面は、カルテ2号用紙の形式をベースにした経過記録とオーダー発行の2つで構成され、実際の所見やオーダー指示を入力する。経過記録の上部にはこれまでの診療内容を巻物のようにスクロール形式で表示し、現在の診察内容を下部に配置。プロブレム単位に情報を管理し、患者プロフィールや過去オーダー情報などを参照しながら経過記録を入力できる。オーダー発行では、過去のオーダー歴を参照したり、内容をコピーすることで指示登録を行える。

photo 「経過記録・オーダ発行」画面《クリックで拡大》

 また、POMR(Problem Oriented Medical Record:問題志向型診療録)に基づき、プロブレムごとの経過入力や把握を支援する「プロブレムリスト」画面を利用できる。病名やプロブレム単位で詳細な内容を一覧表示する。プロブレムとそれに関連するカルテ情報を関連付けて表示でき、このプロブレムに関連するカルテの記載内容の抽出や転記などを自動化している。

photo プロブレムリスト画面。プロブレムが移行した場合は、「移行先」欄にその経緯が分かるように移行先名称が表示される

豊富なチェック機能を搭載

 HIHOPS-HRのオーダーシステムでは各種オーダーの発行やチェック機能を搭載し、医療の品質や安全性の向上を支援する。オーダー基本画面はオーダーの編集や発行機能だけでなく、オーダー実施状況のカレンダー表示や掲示板、メール機能などを搭載している。

photo オーダ基本画面《クリックで拡大》

 また、検体検査オーダ結果参照画面では、オーダーした検査結果を異常値や閾値などを色で分けてグラフ表示する。

photo 検体時系列グラフ参照画面

主なチェック機能

重複投与チェック、極量値チェック、長期投与チェック、妊産婦投与チェック、配合禁忌チェック、他科オーダーとのチェック、粉砕化チェック、同効薬チェック、剤形チェック、別薬袋チェック、分割チェック、薬物アレルギーチェック、院外薬品チェック、必須病名チェック、病名長期投与チェック、病名禁忌チェック、処方注射間チェック、造影剤チェック


 また、病棟ごとの患者一覧や病棟レイアウト図などを利用する「病棟管理」機能を利用できる。患者一覧では、身長、体重などの患者の情報をツールチップで確認したり、オーダーや定期処方、病床移動などの予定を把握できる。

データ統合や二次利用を促進するレポートシステム

 HIHOPS-HRでは、他医療機関からの紙媒体の紹介状や部門システムのリポートデータ、シェーマやスキャン画像などを電子カルテのデータベースに統合でき、各種データの自動取り込みや編集、PDF出力などの機能を搭載している。

photo レポートシステムのイメージ

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