オーダ操作を簡便化した医療情報システム「TRACLINICA」病院情報システム紹介:アルスコミュニケーションズ

検査・処方などのオーダを電子化して共有することで、病院業務の効率化や患者待ち時間の短縮を実現するオーダリングシステム。本稿ではオーダリングシステムを中核とした小規模病院向けシステム「TRACLINICA」を紹介する。

2011年10月28日 09時00分 公開
[翁長 潤,TechTargetジャパン]

部門横断型の医療情報システムの代表格

 現在、医療機関はさまざまな種類の情報システムを導入している。電子カルテシステムやレセプトコンピュータ(以下、レセコン)、医用管理画像システム(PACS)、看護支援システム、臨床検査システムなど実に多岐にわたる。それらのシステムは大きく「部門システム」と「部門間を結ぶシステム」の2つに分類できる。部門システムとは、検査部や放射線部、薬剤部など各部門の業務を支援するシステムを指す。部門間を結ぶシステムとは、複数部門が連携した情報管理を支援するシステムを指し、その代表格としてオーダリングシステムが挙げられる。

 オーダリングシステムは、医師の診療内容に基づいた検査・処方などのオーダを電子化して関連部門と共有することで、伝達ミスの防止や入力・処方ミスのチェックを可能にする。その導入によって、院内業務の効率化や患者の待ち時間を短縮できるなどのメリットがある。診療内容の電子化という点で電子カルテと重複する機能を持つが、所見やシェーマなどオーダ以外の情報を入力する電子カルテと比べて入力に掛かる手間が少ない。そのため、オーダリングシステムの導入は「医師の診療業務におけるIT化の最初のステップ」ともいえる。

オーダリングシステムを核とする医療情報連携

 小規模病院向け医療情報システム「TRACLINICA」はオーダ情報を管理するデータベースを中心に、診察室や検査室、薬局、看護室、事務などの周辺システムが連携するネットワークを構築して情報の共有化を図るクライアント/サーバ型システム。主に診療所から小規模病院(病床数200床以下)に対応する。アルスコミュニケーションズ 代表取締役 矢野利一氏が前職の三洋電機在籍時に開発したシステムがベースとなり、2002年から同社が開発・販売を引き継いでいる。

TRACLINICAのソフトウェア構成
  システム機能
オーダリングシステム 処方オーダ、注射オーダ、検査オーダ、X線オーダ、看護介助システム、予約システム、ベッド管理システム
周辺システム 受付システム、薬局システム、検査システム、X線実施システム、印刷管理システム、医事接続システム
オプション 給食オーダ/実施システム、病棟支援システム、RIS連携システム、周辺接続システム
基幹システム データベースシステム、周辺管理、バックアップ
(オプション)
監視システム、リモート接続、電源管理、VPN通信、院内インターネット、セキュリティ管理
photo アルスコミュニケーションズの矢野氏

 矢野氏は「医療機関が取り扱う情報の発生源は、医師の診療業務。まず、その部分をIT化することで検査部門や薬局部門などの関連業務を円滑にし、医療機関全体の運用を効率化できる」と説明する。

 また、小規模な病院におけるIT化の課題として、IT化の費用対効果が得られにくいことを挙げている。さらに、古い検査機器を使用している場合、機器間の情報連携が進まない点などを指摘し、電子カルテを導入してもその入力に手間が掛かることも課題だという。その上で、TRACLINICAはそうした課題を解決して病院のIT化を促進するシステムと説明する。

 TRACLINICAの特徴について、矢野氏は「アクティブ方式によるオーダ入力作業の簡便化」「周辺システムとの連携が容易」「業務改善につながるカスタマイズが可能」の3点を挙げている。

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