【事例】院内の全情報を把握できる次世代の情報管理システムを構築 都立広尾病院医療機関のIT化事例:東京都広尾病院

電子カルテを導入する医療機関が拡大する中、東京都立広尾病院は病院内のあらゆる情報を収集し、有効に利用するための情報管理システムの構築に取り組んでいる。

2012年06月29日 09時00分 公開
[唐沢正和]

FileMakerをベースにした情報収集・分析基盤を構築

 東京都立広尾病院(以下、広尾病院)は「1人でも多くの患者に安全・安心・良質の医療を提供する」ことを理念に掲げ、救急災害医療や心臓病医療、脳血管疾患医療、島しょ医療を重点医療とする総合医療施設(一般病床476床)だ。

 同病院は2004年、電子カルテの情報をより有効に活用するために、電子カルテのデータを集約・分析するデータウェアハウスを独自に構築。同システムを「ハイパーシステム」と名付けている。ハイパーシステムは、データベース管理ソフト「FileMaker Pro」をデータベースエンジンに用いて、患者の診察状況をリアルタイムに把握できるシステムである。さらに今後の展開として、iPadを活用したモバイル型システムの構築に取り組んでいる。こうした広尾病院のIT化推進を一手に担っているのが、小児科医長兼IT推進担当の山本康仁氏だ。

photo 広尾病院の山本氏

 「電子カルテは、患者のさまざまな医療情報をひたすら蓄積する。その情報を確認する際にはログインし、患者1人ひとりの電子カルテを開いていく必要がある。現代の医療はチーム医療であり、1人の患者に多くの医療従事者が関わり、複数の担当者の情報が電子カルテに集約される。電子カルテの情報が更新されても、担当医師は電子カルテを参照するまでそれに気付かないことがある。さらに情報が分散してしまい、その把握に時間を要することもある」と、山本氏は通常の電子カルテの課題を指摘する。

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