米国の研究グループが、生後2年間の子どもの肥満リスクを低下させるためにデジタルツールを使った実験を実施した。具体的にどのような効果があったのか。
小児肥満の改善に、小児科医の問診だけでなくデジタルツールが役立つ――米国の研究グループがそのような研究結果を発表した。2024年11月発行の医学雑誌『The Journal of the American Medical Association』に掲載された論文「A Digital Health Behavior Intervention to Prevent Childhood Obesity」で明らかにした。デジタルツールをどのように活用し、具体的にどのような効果があったのか。
研究グループは、新生児から24カ月児を持つ保護者に対し、クリニックでの問診とデジタルツールの活用が子どもの肥満リスクにどのような影響を及ぼすかを比較した。
米国では小児肥満が問題となっており、人種や民族、社会的、経済的地位による健康上の格差が生じている。研究グループは、小児肥満に対する効果的な予防法は存在しているものの、長期的な効果は期待できないと指摘する。クリニックでの問診で子どもの健康的な成長を維持できるのは、生後18カ月までだという。
研究者グループは、小児科医が実施する問診に加え、健康リテラシー(健康や医療に関する適切な情報を入手し、理解できる能力)に配慮したテキストメッセージを送信し、生後2年間の肥満リスクの低下に役立つかどうかを調べた。
研究グループは「デジタルツールを使えば、メッセージのやり取りの機会を増やすことができ、自分の都合に合わせてメッセージを確認したり返信したりできる」と説明する。子どもや保護者の条件に沿った情報を送信することも可能だ。研究グループは「米国ではモバイルデバイスの保有率が高く、患者家族にアプローチしやすい」と述べる。
研究グループは、900人の子どもとその保護者を2つの群に分けて比較、評価した。
この結果、問診だけでなくテキストメッセージを受け取った保護者の子どもは、2歳の誕生日までに肥満になるリスクが低いことが分かった。
テキストメッセージを受け取った群の子どもは、身長に対する体重の増加が緩やかな傾向があった。同じ年齢と性別の集団の平均体重との乖離(かいり)を示す指標「Zスコア」でも、より健康的な値を示した。
デジタルツールの活用は、肥満指数(Body Mass Index:BMI)の「過体重」の予防よりも「肥満」の予防に効果を発揮することも示した。
24カ月時点で、テキストメッセージを群の23.3%が肥満または過体重だったのに対し、問診のみの群は24.5%だった。ただし、研究グループは、この差は小さく統計的に有意ではないと述べている。しかし肥満の子どものみを比較すると、その差は顕著だった。メッセージを受け取った群の子どもの肥満率は7.4%だったのに対し、問診のみの群は12.7%だった。
研究グループは「デジタルツール活用の効果は主に、身長に対する体重やBMIの値が大きい子どもに現れた」と総評し、「重要な結果」と述べる。この実験の目的は、健康的な体重の増え方を変えるのではなく、不健康な体重の増え方を改善することだったからだ。
一方、研究グループは、クリニックでのデジタル冊子の活用や、デジタルツールの導入に際して、既存の医療システムとの調整が必要だと指摘する。
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