医療分野向けシステム事業で40年以上の歴史を持つNEC。同社の電子カルテ「MegaOakHR」は、日本クリニカルパス学会作成の「BOM」のマスターに対応するなど、医療の質や医療安全性を向上させる機能を搭載している。
日本初の医事会計システム(レセプトコンピュータ)を1966年に開発したNEC。同社は診療録の電子保存が認可されたことを受け、電子カルテシステム「MegaOak-NEMR」を1999年に発表した。その後継製品となる「MegaOakHR」を2006年に提供開始。MegaOakHRは現在、病床数300床以上の大規模病院を中心に300以上の病院で導入されている。「MegaOakHRユーザーフォーラム」(2009年設立)のフィードバックを踏まえて、機能強化を定期的(年1回)に実施している。
MegaOakHRは、運用系/待機系システムのホットスタンバイ運用に加えて、システムダウン時でもデータ参照を可能にする参照用サーバを設置する三重化構成を取る。また、セキュリティ対策として、IDとパスワードによる利用者認証に加えて、指紋や静脈、それらを組み合わせた生体認証対応ソリューションを活用できる。さらに、不正アクセスを抑制するアクセスログの記録や、利用者や特定の患者ごとに閲覧を制限する設定などが可能だ。
同社の医療ソリューション事業部 MegaOak戦略企画グループ グループマネージャー 外尾和之氏は、MegaOakHRでは「医療の質の向上や医療安全に注力している」と説明する。
MegaOakHRのカルテ画面は、左側に過去の記録、右側に今回の入力分を配置する見開き方式を採用。記事入力やオーダーチェック、プログレスなど各種機能をタブ選択で切り替えて利用する。画面上部の「患者ポータル」では、患者の基本情報・アレルギー/感染症情報などを常に表示する。
また、長期的な診療経過を一覧表示する「診療マップ」機能を備えている。「これまでどのように診療を行ってきたのかが一目で分かるように、紙カルテの厚みを表現した機能」(外尾氏)
MegaOakHRでは、記事入力を簡素化する機能「ダイナミックテンプレート」を利用できる。「2000種類のテンプレートが搭載されている」(外尾氏)。ダイナミックテンプレートでは記入項目を選択肢で表示し、選択すると次の入力項目の候補を自動的に表示する。例えば、心音の診察記事を入力する場合、「心雑音」の種類を選択すると、その種類に応じた記載項目の候補が表示される。
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