病院向け電子カルテ市場で国内トップシェアを誇る富士通。同社の「HOPE/EGMAIN-GX」は2008年のリリース以後、チーム医療を推進する情報連携基盤として300以上の施設で導入されている。
大学病院を中心に1980年代からメインフレームによるオーダリングシステムなどの診療支援システムを提供してきた富士通。同社は1999年に診療録の電子保存が認可されたことを受け、電子カルテシステムの提供を開始した。同社の「HOPE/EGMAIN」シリーズは、診療所から大規模な病院向けまで幅広くラインアップされている。特に病院向け電子カルテでは国内市場のトップシェアを誇る(関連記事:病院向け電子カルテ市場、2016年に1137億円規模 中規模病院の伸びに期待)。今回紹介する電子カルテシステム「HOPE/EGMAIN-GX」は2008年のリリース以後、300以上の病院で導入されている。
富士通は1999年、大規模病院や先進病院を対象とする電子カルテシステム「HOPE/EGMAIN-EX」を販売開始。各病院の機能要求に応えるカスタマイズを可能にした点が特徴だった。その後、2003年に「HOPE/EGMAIN-FX」をリリース。HOPE/EGMAIN-EXとは対象的に、HOPE/EGMAIN-FXは標準的な機能をパッケージ化して提供し、ユーザーのフィードバックを踏まえて年1回の定期的なバージョンアップを行う。特に中堅規模の病院で導入されてきた。
HOPE/EGMAIN-GXについて、富士通のヘルスケアソリューション事業本部 SVP(営業担当) 佐藤秀暢氏は「HOPE/EGMAIN-EXで培ってきたノウハウを生かした豊富な機能を提供するとともに、ユーザーのフィードバックを受けて機能をレベルアップするという両製品の特性を兼ね備えた“成長型電子カルテ”」と説明する。HOPE/EGMAIN-GXはユーザーコミュニティー「利用の達人」(2004年設立)の意見を集約して機能を定期的に改善しており、2012年8月現在でバージョン4である。
HOPE/EGMAIN-GXはクライアント/サーバ型システム。運用系、待機系システムのホットスタンバイ運用に加えて、システムダウン時でもデータ参照を継続できる参照用サーバを設置する三重化構成を取る。リッチクライアント方式を採用しており、入力中のデータを自動復元する機能を備えている。
セキュリティ対策として、IDとパスワードによる利用者認証以外にも指紋や静脈などの生体認証に対応する。また、利用者のアクセスログを基に追跡・解析ができ、データ改ざんを防止するための版数管理方式を採用している。その他、特定の患者や病院スタッフの情報をパスワードで保護・管理するVIP機能を搭載する。
「HOPE/EGMAIN-GXの一番の特徴は、電子カルテ(診療記録)、看護記録、オーダリング機能を統合してデータベースで一元管理すること。院内のスタッフ間で患者の診療情報をリアルタイムに共有することでチーム医療の推進を支援する」(佐藤氏)
病床数100床以上を対象とするHOPE/EGMAIN-GXは、全ての職種のスタッフが使用することを念頭に置いて開発し、情報の視認性や操作性を考慮しているという。HOPE/EGMAIN-GXでは、ある1人の患者のカルテを同時に複数のスタッフが閲覧・記録できる。また、複数の患者(最大5人)の情報を画面に表示可能だ。
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