Broadcomは、VMwareのサポート期限切れの永久ライセンスを保有する顧客企業に対し、VMware製品の利用停止を求める書簡を送付した。その中身が波紋を呼んでいる。
半導体ベンダーBroadcomがサブスクリプションライセンスを契約していないVMware製品のユーザー企業に送ったメールがリークされ、その内容が話題を呼んだ。Broadcomは仮想化ソフトウェアベンダーVMwareを買収後、VMware製品の永久ライセンスの販売を終了し、サブスクリプションライセンスに統一して製品体系を再編した。しかし、それ以降もサードパーティーの保守サポートを利用し、永久ライセンスの運用を続けるユーザー企業が存在する。今回のメールは、そうした企業への警告とも捉えられる内容だ。
Broadcomは2024年に、VMwareの永久ライセンスの販売を終了した。ユーザー企業にサブスクリプションライセンスへの移行を促し、収益を安定化させるのが狙いだ。過去に永久ライセンスを購入した組織は、有効なサポート契約がある限り、今のところVMware製品の保守サポートを利用できる。ニュースサイト「Ars Technica」によると、今回のメールは、すでにサポート契約が終了しているにもかかわらずVMware製品を使い続けている企業に送られたようだ。文面には、対象となる企業に対して、「直ちに、VMware製品に関連する以下のサポートサービスの使用を停止するよう要求する」とはっきり記されている。該当するサポートは次の通りだ。
続いて、以下のような警告文が記載されている。
「有効期限を過ぎてこれらのサポートサービスを実施する場合は、直ちにVMware製品を削除、もしくはアンインストールする義務がある。有効期限が切れた後のサポートサービスの使用は、重大な契約違反、およびVMwareの知的財産権の侵害と見なされ、損害賠償や弁護士費用の請求につながる可能性がある。ユーザー企業は注文およびライセンス契約に関連する有効期限が切れた際の報告要件を順守する必要がある。順守しない場合、契約違反となり、VMwareはユーザー企業に対する監査権など、契約上の権利や法的権利を行使する可能性がある」
この内容について、ITコンサルティング企業Belittleのプリンシパルコンサルタントを務めるバリー・ピリング氏は、ビジネス向けSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)「LinkedIn」の投稿で次のように解説した。「これは事実上の“使用停止命令”だ。サポート契約の有効期間が終了した企業は、重要なセキュリティパッチを除き、各種VMware製品のアップデートやパッチを利用できなくなることを明示している。契約期間満了時の報告義務を順守しないならば、ユーザー企業に対する監査権を行使する可能性にも言及し、より厳格な対応をちらつかせている」
「法的には間違っていないし、Broadcomの方針にも沿っている措置だが、個人的にはやや強引なように感じる。サポート契約の失効からわずか数日後にこのメールを受け取ったという企業もある。Belittleは、既に複数のユーザー企業がBroadcomから監査通知を受け取っているとの情報をキャッチした。Broadcomの監査対象が広範囲に及んでいると考えられる」。同氏はそう続けた。
今回浮き彫りになったように、VMware製品のユーザー企業は既存の永久ライセンスを引き続き利用できるものの、サポート契約の有効期限超過後にそのまま使用し続けるのは困難だ。ソフトウェアライセンス管理ベンダーRedress Complianceは同社のWebサイトのブログエントリ(投稿)で、「VMware製品を所有するという選択肢はもはや存在しない。現在はサブスクリプションライセンスを契約して製品を“レンタル”するか、サポート対象外となるかのどちらかしかない」と語る。
別の選択肢は、サードパーティーの保守サポートの活用だ。VMware製品がサポート対象外であっても、セキュリティを確保できれば、買い切りのVMware製品の使用を続けることは不可能ではない。
Rimini StreetやSpinnaker Supportのような、サポートサービスを提供するサードパーティーが存在する。こういったベンダーは、VMwareからのパッチが利用できなくなった場合でも、ユーザー企業がセキュリティを維持しつつ、既存の構成でVMware製品を使い続けられるように保守サポートを提供している。もし組織がVMwareの利用規模を拡大したい場合は、中古ライセンスを調達することも可能だ。
翻訳・編集協力:雨輝ITラボ(株式会社リーフレイン)
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