エンドポイント保護ツールの代表的な選択肢としてSentinelOneとCrowdStrikeがある。どちらも充実したエンドポイント保護機能を提供しているが、どこに違いがあるのか。両者を比較する。
デスクトップPCやノートPCなどのエンドユーザー向けデバイスにおけるセキュリティ対策の一環として、組織はさまざまなエンドポイント保護ツールをが導入してきた。
現在のエンドポイントセキュリティでは、ウイルス対策だけではなく、可視化と監視や「EDR」(Endpoint Detection and Response:エンドポイントの検知と対応)などを組み合わせたエンドポイント保護が主流になっている。「EPP」(Endpoint Protection Platform)は、エンドポイントのイベントを継続的に記録・監視・分析し、異常な動作を検知してアラートを出したり、必要に応じて脅威をブロックしたりするツールとして活用されている。
そうしたエンドポイント保護の選択肢の一つに、「SentinelOne Singularity Platform」(以下、SentinelOne)と「CrowdStrike Falcon」(以下、CrowdStrike)がある。本稿では、これら2つのエンドポイント保護製品について、主な機能を踏まえながらそれぞれの特徴を明らかにする。セキュリティ体制をどう強化すべきかについても併せて解説する。
SentinelOneとCrowdStrikeは、以下のような機能を提供している。
どちらのエンドポイント保護ツールも、さらなる調査が必要なイベントを検知すると、自動でアラートを生成する。状況に応じてリアルタイムで対応し、攻撃を阻止することも可能だ。加えて、悪意ある活動が検知された場合には、修復処理やシステムのロールバックなど、さまざまな自動対応を実行できる。これらの対応は、人間のアナリストが手動で起動することも可能だ。
両製品とも、ダッシュボードやレポート機能など、相関イベントデータのレビューに適した標準的な機能を備えている。どちらも生成AIを活用した脅威検知機能を搭載している。それぞれSentinelOneには「Purple AI」、CrowdStrikeには「Charlotte AI」が導入されている。これらの生成AIエージェントを通じて、管理者は収集・分析されたイベントデータに対して自然言語で質問し、より詳細な分析や調査を実行することができる。
どちらの製品も、OSとして「Windows」「Linux」「macOS」「ChromeOS」「Android」「iOS」を搭載するエンドポイントの保護ができる。
どちらの製品にも、生成されたデータを他のセキュリティ関連のデータと併せて一元管理するためのストレージや、ダッシュボード、分析機能などが含まれる。
SentinelOneとCrowdStrikeの製品に対するユーザーからの評価に大きな差はない。本記事執筆時点における「Gartner Peer Insights」(製品のレビューと評価のためのWebサイト)の検証済みレビューによると、両製品ともEPPとしての性能に関して、5点満点中4.7点という高い平均評価を獲得している。レビューの99%が「3つ星(中央値)以上」の評価であり、ユーザー満足度の高さがうかがえる。レビュー件数に関しては、CrowdStrikeの方が多くなっており、件数の差は製品の導入規模や普及状況の違いを反映していると考えられる。
SentinelOneがCrowdStrikeより高く評価されていたポイントは、「価格設定の柔軟性」だった。この項目に関して、Gartner Peer Insightsにおけるユーザー評価は、SentinelOneが4.4点、CrowdStrikeが4.2点だった。一方、CrowdStrikeにおける最大の強みとされたのは、「サードパーティーのリソース(他社製品やツールとの連携や拡張性)が豊富に利用できる点」であり、この項目の評価はCrowdStrikeが4.7点、SentinelOneが4.4点だった。
Mitre ATT&CK Evaluationsは2023年、国家レベルの攻撃者を想定したテストでCrowdStrikeとSentinelOneを評価している。この評価では、CrowdStrikeの攻撃手法の検知性能がSentinelOneを上回ったが、保護機能については同等の結果だった。2024年の評価では、CrowdStrikeは加わらなかったものの、SentinelOneはテストされた全ての攻撃手法の検知に成功している。
Gartner Peer Insightsでよく見られるCrowdStrikeに対する不満は、ライセンスが複雑なこととハイブリッド環境が十分にサポートされていないことだ。SentinelOneはAndroidの機能に関する不満が報告されており、誤検知が多く発生しているようだ。
あらゆる組織にとって、ユーザーが利用するデバイスを保護するためにエンドポイント保護ツールを活用することは不可欠だ。大規模な組織であれば、ツールを自社で導入、管理し、自前の体制で監視を行うケースが多い。一方で、小規模な組織では人員や予算などのリソースが限られていることから、同様のエンドポイント保護機能を提供するマネージドサービス(運用代行型サービス)を採用するケースがある。こうしたサービスでは、ツールの運用管理や監視の多くを外部に任せることができる。一部のサービスは、組織の対応能力に合わせてカスタマイズされたインシデント対応(事故対応)機能も提供しており、限られたセキュリティ体制の強化を支援する役割も果たしている。
エンドポイント保護ツールやその運用を外部に委託するマネージドサービスを評価する際、組織が検討すべき主な観点は次の通りだ。
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