AIコーディングツールは開発の利便性を高める一方、セキュリティにとっては「もろ刃の剣」だ。こうしたツールを活用しつつ、安全性の高い開発体制を築くためのベストプラクティスを解説する。
人工知能(AI)技術を活用したコーディング支援ツール(以下、AIコーディングツール)の利用が広がるのに伴い、これらのツールが新たな脆弱(ぜいじゃく)性を生むリスクが指摘されている。一方で、適切に活用すればセキュリティ強化の手段としても機能し得るのがAIコーディングツールの特長だ。
本稿は、AIコーディングツールを安全に活用しつつ、開発体制全体のセキュリティを高めるためのベストプラクティスを解説する。
AIコーディングツールを安全に利用するためには、以下のベストプラクティスを実践することが重要だ。
AIツールが生成したソースコードを安全だと思い込むのは危険だ。それはあくまで「出所不明のサンプルコード」であり、慎重な確認が必要だ。たとえ「GitHub Copilot」や「ChatGPT」が生成したソースコードであっても、以下のような検証プロセスを経た上で本番環境に取り込むべきだ。
AIコーディングツールは開発者の「補助役」であり、判断を委ねる存在ではない。生成されたソースコードは開発者自身が内容を理解し、その安全性や妥当性を見極める必要がある。AIツールに過度に依存するのではなく、人間の判断力を常に介在させる文化を醸成しよう。
以下のように、全てのソースコードに対する自動的なセキュリティチェック機能を整備する。
このように、開発の各段階で問題点を即時に可視化できる仕組みを導入することで、初期段階からセキュリティ品質の高いソースコードを実現しやすくなる。
AIコーディングツールを組織で本格的に使用する際は、社内ルールやガイドラインの整備が不可欠だ。特に重要なのは、プロンプト(AIモデルへの指示文)に入力してよい情報と、入力すべきでない機密データの区別を明確に定義することだ。これにより、機密情報の漏えいリスクを軽減することができる。
AIツールは人間の開発者が見落としやすいリスクを補完し、セキュリティ品質の向上に寄与することも期待されており、セキュリティ体制の強化にも役立つ。
AIツールはコードベース全体を迅速に解析できるため、優秀なレビュアーとして機能する。特に、ソースコード生成に使用したものとは別のAIツールをレビュアーとして使うことで、より客観的かつ網羅的なチェックが可能になる。
例えば、「このソースコードにセキュリティ上の懸念はあるか」「SQLインジェクションの脆弱性がないか確認して」などと依頼すると、潜在的なリスクの指摘や修正案の提示を受けられるケースがある。このようにレビューの質と範囲を高める手段として有効だ。
AIツールに具体的なセキュリティ要件を盛り込んだプロンプトを与えることで、より安全なソースコードの提案を得ることができる。例えば、「入力値のバリデーションを含めて」「適切な認証処理を追加して」「レート制限を設けて」といった内容をプロンプトに含める。
ただし、AIツールによる提案はあくまで“たたき台”であり、最終的な品質や安全性の確認責任は開発チームにある。人間による評価と検証を欠かさないように注意したい。
一部のAIコーディングツールには、セキュリティリスクを低減するための機能が組み込まれている。例えば、「GitHub Copilot」には以下のような機能が搭載されている。
AIコーディングツール「Cursor」はセキュリティベンダーAikido Securityと連携し、ソースコードの入力中に機密情報の漏えいや脆弱性をリアルタイムに検出できる機能を備えている。
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