医療機関がiPadを利用する際に懸念される「セキュリティ」問題。実際にiPadを導入した病院が実施している9つの対策を紹介しよう。
医療ITの専門家が病院での米Appleのタブレット「iPad」利用について抱く懸念といえば、まずセキュリティが挙げられるだろう。この場合、「端末自体のセキュリティ」と、「その端末で参照する(そして場合によっては保存する)保護対象の医療情報のセキュリティ」の両方が問題になる。病院がiPad用のネイティブアプリを選ぶにしても、仮想化アプリを選ぶにしても、幾つか考慮すべきセキュリティ上のベストプラクティスがある。
米ボストンにあるベス・イスラエル・ディーコネス医療センターは1960年代からコンピュータ技術を使っている。iPadを導入する前は、医師や看護師がデスクトップPCとノートPCを使ってWebブラウザベースの電子カルテシステム「WebOMR」(Online Medical Record)やコンピュータ化された医師の直接指示入力システム「CPOE」(Computerized Physician Order Entry)など、さまざまなアプリケーションにアクセスしていた。こうしたシステムをiPad用に拡張するに当たり、同病院はiPadへの仮想デスクトップ拡張機能を使ってこれらアプリケーションにWebアクセスを割り当てた。ユーザーがユーザー名とパスワードを入力してログインすると、iPadが仮想デスクトップになる。
一方、オタワ病院は別の方法を採用した。仮想環境を導入して医師が私物のiPadから電子カルテにアクセスできるようにするのではなく、医師のために数千台のiPadを購入するとともに、ソフトウェア開発者を採用してネイティブアプリを開発させ、その過程で病院の電子カルテシステムとiPadとの間のセキュアなポータルを開設した。この方法ではデータがiPadにダウンロードされたとしても、端末の電源を切ったり、病院の敷地から離れると消去される。
以上2つの病院での異なるiPad導入事例を前提とすると、一般的に以下の9項目のセキュリティ条件の組み合わせが採用されている。
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