医療機関が「Microsoft Teams」を使う4大メリットと3大リスクは?HIPAAをベースに考える

「Microsoft Teams」は、医療環境でのコミュニケーションやコラボレーションにメリットをもたらす可能性がある。ただし医療情報の送受信に利用するときは、コンプライアンスを最優先にしなければならない。

2019年07月22日 05時00分 公開
[Reda ChouffaniTechTarget]
画像

 Microsoftのクラウドサービス群「Office 365」を利用する医療機関は、コラボレーションツール「Microsoft Teams」を利用して、病院職員間のリアルタイムでの共同作業とコミュニケーションを実現できる。ただしMicrosoft Teamsの利用に当たっては、コンプライアンス(法令順守)面でのリスクに注意する必要がある。医療従事者は業務の中で、治療のために患者の医療情報を扱うことがあるからだ。

 医療機関の職員間でのITを介したやりとりには課題が伴う。コラボレーションツールを使用して、職員間で医療関連の情報を送受信している場合は、特に大きな問題となる。HIPAA(米国における医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令)では、医療情報を扱うソフトウェアに対して、厳格なガイドラインの順守と、患者のプライバシーを保護することを義務付けている。IT部門は、Microsoft Teamsを始めとしたコラボレーションツールがHIPAAの要件を満たしているかどうか確認することが必要だ。

 病院や診療所でMicrosoft Teamsの導入を検討するとき、コラボレーションにおけるコンプライアンスの懸念に対処することは欠かせない。Microsoft Teamsのメリットとリスク、コラボレーションツール利用時に確認すべきHIPAAの要件について、詳しく説明する。

医療機関でMicrosoft Teamsを利用するメリット

メリット1.チャットによる医師間の連携

 医療業界のトレンドに、治療連携がある。これは、同じ患者の治療においてさまざまな専門医が協力することを指す。医師と看護師は、互いに患者に関する事柄について継続的にコミュニケーションを取る。指示した検査の状況を医師が確認するときや、同僚の支援を求めるときに、Microsoft Teamsのチャット機能や在席状況の確認機能などを使用すれば、コミュニケーションがより取りやすくなる可能性がある。

メリット2.電子カルテとの連携によるデータの集約

 Microsoft TeamsはAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を使ってサードパーティー製品と連携できる。これにより医師はMicrosoft Teamsのアプリケーションで、サードパーティーのアプリケーションや電子カルテ(EMR:電子診療記録)が提供する外部データを表示/操作することが可能だ。Microsoftは、Microsoft Teamsが「Fast Healthcare Interoperability Resources」(FHIR)に準拠した連携インタフェースを備えることもアピールしている。FHIRは、医療情報をソフトウェア間でやりとりするための一般的な規格だ。

メリット3.医師の代理人の割り当て

 医師がMicrosoft Teamsに備わる代理アクセス権を設定する機能を使用すると、チーム内の誰かを代理に立てることができる。その医師の不在時には、代理人がMicrosoft Teamsのアクセス権限を引き継ぐ。Microsoft Teamsは、別のユーザーをバックアップに指名しやすくする機能が充実している。これは担当医師とは別の医師が患者対応をする際に役立つ。

メリット4.保護された医療情報への院外からのアクセスを管理

 Microsoft Teamsのセキュリティ機能の一つに、データ損失防止(DLP)機能がある。IT管理者はDLP機能を利用して、医療情報などの機密情報が院外のユーザーと共有されるときにフラグを設定し、セキュリティ担当者に通知するなどの設定ができる。

Microsoft Teamsによるコラボレーションのコンプライアンスリスク

リスク1.データ漏えい

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

「遠隔医療」に一斉移行した医療機関 その方法とは?

遠隔医療体制を構築する際は、患者や通常業務への影響を押さえながら進める必要がある。パンデミック下で一斉に遠隔医療体制を構築した2つの医療機関の例を紹介する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

オーストラリアの「電子処方箋」制度ができるまでの道のり

オーストラリアでは処方箋の完全電子化が一般化しているが、制度確立までの道のりは平たんではなかった。完全電子化を阻んだ課題とその解決策とは。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

湾岸諸国の「デジタルヘルスケア」推進 重点分野と課題とは?

コロナ禍を契機に、湾岸諸国では「デジタルヘルスケア」への移行が加速している。湾岸諸国におけるデジタルヘルスケア産業の重点投資分野とは。デジタルヘルスケア推進の”壁”とその対処法についても紹介する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

医療機関で起こりがちな「データ品質」低下の理由と、改善に向けた方策とは

医療機関は膨大なデータを扱い、そのデータに基づいて重要な決定を下す場合がある。一方、データの質は低くなりがちだ。それはなぜか。データの品質を改善させるために必要な方策と併せて紹介する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

NHSのデータ基盤計画が英国民の不評を買った理由

英国の国民保健サービスでイングランド地域を管轄するNHS Englandが、医療サービス向けの新データ基盤を構築している。この計画に英国市民団体が“待った”をかけたという。なぜなのか。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

繧「繧ッ繧サ繧ケ繝ゥ繝ウ繧ュ繝ウ繧ー

2025/04/23 UPDATE

  1. AI縺ァ縲悟庶逶翫し繧、繧ッ繝ォ邂。逅�€阪↓譁ー鬚ィ縲€蛹サ逋よゥ滄未縺ッ窶懆┳RPA窶昴↓雕上∩蛻�l繧九°��
  2. 蛹サ逋よ・ュ逡後′繝ゥ繝ウ繧オ繝�繧ヲ繧ァ繧「縺ョ3逡ェ逶ョ縺ョ讓咏噪縺ォ縲€閭梧勹縺ォ縺ゅk謾サ謦�€��螟牙喧縺ィ縺ッ��
  3. 逞�劼縺ョ繝ゥ繝ウ繧オ繝�繧ヲ繧ァ繧「陲ォ螳ウ縺ァ豁サ莠。萓九°縲€諞、繧九そ繧ュ繝・繝ェ繝�ぅ讌ュ逡�
  4. 繝√�繝�蛹サ逋ゅ�謗ィ騾イ繧呈髪謠エ縺吶k髮サ蟄舌き繝ォ繝�€粂OPE/EGMAIN-GX縲�
  5. 蝨ィ螳�現逋ゅ�迴セ蝣エ縺ァ豢サ霄阪☆繧九せ繝槭�繝医ョ繝舌う繧ケ
  6. 縲梧律譛ャ蛹サ逕ィ逕サ蜒上ョ繝シ繧ソ繝吶�繧ケ縲阪′繧ッ繝ゥ繧ヲ繝峨↓遘サ陦後€€AI謚€陦薙�遐皮ゥカ髢狗匱繧貞刈騾�
  7. 繝九さ繝ウ蟄蝉シ夂、セ縲√€檎羅逅�ィ呎悽逕サ蜒上€阪�邂。逅�r蜉ケ邇�喧縺吶k繧ッ繝ゥ繧ヲ繝峨し繝シ繝薙せ繧呈署萓�
  8. 蟇悟」ォ騾壹€∬ィコ逋よ園縺九i荳ュ蝣�羅髯「縺セ縺ァ蟇セ蠢懊☆繧句現逋ゆコ句漁繧キ繧ケ繝�Β縲粂OPE/SX-R縲阪r逋コ陦ィ
  9. 蛹サ蟶ォ縺ォ閨槭¥縲√€後が繝ウ繝ゥ繧、繝ウ險コ逋ゅ€阪r繧�a縺悶k繧貞セ励↑縺�€懷�螳溘↑逅�罰窶�
  10. 2018蟷エ縺ョPACS蟶ょ�エ縺ッ465蜆��隕乗ィ。縲∵€・蠅励☆繧九け繝ゥ繧ヲ繝牙梛PACS

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...