患者データを保護するために
医療機関に求められるサイバーセキュリティ5訓
医療機関の最高情報責任者(CIO)は、機関の環境を保護する役割を担う。そのため、多要素認証やAIベースの監視などを導入して、データの侵害を防ぐ必要がある。
サイバーセキュリティは、病院や医療機関にとって、2018年も引き続き最優先事項の1つになるだろう。医療機関への巧妙な攻撃が増えたことを受けて、CIOやITプロフェッショナルは厳戒態勢を取っている。攻撃側の戦術は絶えず変化しているため、患者データを保護するには、改良を重ねた最新のサイバーセキュリティベストプラクティスとインテリジェントサイバーセキュリティテクノロジーを取り入れなければならない。
エンドユーザーのトレーニングと意識向上は、継続して対応が求められる重要な分野だ。だが、環境外部でひそかに変化を続ける脅威に備えるには、他にも幾つか行うべき重要な措置がある。本稿では、CIO、最高情報セキュリティ責任者(CISO)などのセキュリティプロフェッショナルに向けて、サイバーセキュリティのベストプラクティスを紹介する。患者データを保護し、環境をサイバー攻撃から守る上で役立てていただきたい。
1. ネットワークを細部まで理解する
適切な防御策とセキュリティ保護を導入するため、医療機関のITチームにはネットワークや攻撃対象領域に関する詳しい知識が必要だ。この知識があれば、攻撃の標的になる可能性が高い領域を明らかにして、潜在的な脆弱(ぜいじゃく)性を特定できる。医療機関のシステムには、医療機関環境保護のためにサイバーセキュリティのベストプラクティスを必要とする機器やエントリポイントが幾つか存在する。「Nmap」「Netcat」「Metasploit」「Wireshark」「NetworkMiner」などのツールを使用すると、モノのインターネットやモバイルコンピューティングに利用されている医療機器の目録を作成できる。
2. 強力な多要素認証(MFA)を導入する
よく行われるサイバーセキュリティのベストプラクティスの1つは、医療アプリケーションやシステムに接続するときに、従業員にMFAを求めることだ。このベストプラクティスに従うと、ユーザー資格情報が漏えいしたり、盗難に遭ったりしても、それとは別の認証情報がなければ内部システムにアクセスできない。MFAは、ユーザーに本人であることを裏付ける追加情報の提供を求めることで、盗難に遭った資格情報を使って行われる多くの攻撃を防止する。MFAで利用する要素には、トークンや生体認証手法の他にも、SMS、電子メールや音声で送られるコードなどがある。
3. 権限管理を徹底する
セキュリティの脅威の全てが外部に由来するわけではない。確認されたセキュリティ侵害の幾つかは、昇格されたアクセス権を持った請負業者や従業員が情報漏えいを引き起こしている。昇格された権限を持つ管理者や請負業者は、業務のためにさらに上位の権限が必要になることが多いため、医療機関の運営上の課題となっている。このような状況では、監視、一時的に昇格されたアクセス権、監査証跡などから構成されるバランスの取れたアプローチによって適切な統制を実現し、内部の脅威から環境を保護できる。
4. 人工知能(AI)ベースの監視ツールを導入する
ログを監視するだけの従来のセキュリティ情報イベント管理(SIEM)ツールではもはや十分ではない。膨大な量の情報と最近の攻撃の巧妙さが相まって、多くの従来型ツールは攻撃の検出が難しくなっている。最新のSIEMツールでは、AIや機械学習を駆使してネットワーク上の全てのセキュリティイベントとトラフィックを分析し、医療機関環境内の異常なアクティビティーを見つけ出す。医療機関にはこのようなツールの導入が推奨される。
5. 障害回復の徹底的な見直しを行う
医療機関は継続的に安全措置を講じて攻撃者を遠ざけているが、攻撃によってシステムの回復が必要になった場合に備えることも重要だ。CIOは攻撃が起きないことを目標にしているが、どれだけセキュリティ対策を尽くしても、医療機関が攻撃の被害者になる恐れはなくならない。攻撃が発生した場合に、障害復旧/ビジネス継続計画を用意していれば、すぐに実施できる。
医療機関のCIOやITプロフェッショナルは、常に変化を続けるサイバー攻撃の脅威に直面して、サイバーセキュリティのベストプラクティスに従う重要性を実感している。攻撃側がAIに関心を寄せて攻撃の成功率を上げようとしていることもあり、医療機関は増加し続ける攻撃に対して備えが万全ではないかもしれない。幸い、医療機関も応戦のためにAIに目を向けている。2018年は間違いなく、かなりの攻撃が発生する年になるだろう。
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