【連載コラム】医療ITの現場から
レセプト審査・指導対策は「正しいカルテ、正しいレセプト」の作成から
カルテの経過欄とコスト欄を一致させることが「レセプト審査・指導対策」になる。今回はカルテ記載の重要性を考える。
診療記録を記載するカルテ2号用紙は、紙面の左側に医師が実際に診療した経過(主訴、所見、指導内容など)を記載し、右側に医療機関が請求できるコスト(初・再診料、処方、処置、検査、管理料など)を記載するのが一般的です。しかし、実際の紙カルテを見ると、左右ではなく上下に書かれていたり、経過とコストが交互に書かれていたりと、医師や診療所によってかなり異なっているのが実情です。今回はカルテ記載の大切さについて考えていきたいと思います。
併せて読みたいお薦め記事
レセプト請求に関する記事
電子カルテとレセコンに関する記事
紙カルテ時代のレセプト処理
診療所のITとしてレセプトコンピュータ(レセコン)のみが中心だったころ、日々医師が記入するカルテは、会計やレセプト作成の基礎資料として、医療事務がレセコンに入力していました。そのため、カルテの記載内容のうち、医療事務が注目する内容はコストばかりで、経過にはあまり注目していなかったように感じます。例えば、経過欄が白紙であっても、カルテの内容が読みにくい文字で書かれていても、医療事務の業務上はそれほど問題がありませんでした。
電子カルテ時代のレセプト処理
電子カルテを使用するようになると、経過やコストを医師が電子カルテに入力し、受け付けでその内容を確認して不足している内容を補い、会計処理やレセプト作成をするようになりました。医療事務はレセプトを作成する業務から、レセプトを確認する業務に変わったのです。実際にカルテからレセプトを起こすためには、診療報酬の算定ロジックを十分に理解する必要があります。しかし、電子カルテの場合はそこまで詳しくなる必要がなくなりました。「電子カルテを導入してから、事務スタッフが診療報酬の点数を勉強しなくなった」と嘆く医師がいる理由は、このようなところにあるのでしょう。
レセプト審査は年々厳しくなっている
医療機関からの医療費請求を審査する審査支払機関が2012年、「突合点検」「縦覧点検」などコンピュータによるレセプト点検を開始して以来、審査支払機関のレセプト審査は年々厳しさを増しています。病名漏れや病名と薬の不適合、算定月の誤りなど、注意しなければならない箇所が増えています。また、厚生労働省による個別指導も年々厳しくなる傾向にあり、診療所はレセプト点検だけでなく、カルテ内容の充実を図らなければ、経営上の痛手となる時代となりました。
カルテとレセプトは一致して当然
電子カルテではカルテとレセプトは一致するように作られています。言い換えれば、紙カルテのように、カルテの記載がなくても、医療事務がレセプト作成時に類推して後から補正すればよいという考え方は通用しないということになります。
審査・指導対策は「正しいカルテ、正しいレセプトの作成」から
厚生労働省は超高齢社会において膨れ上がる医療費を抑えていくことを最重要テーマとしています。そのため、レセプト審査や個別指導の厳格化は必然的な流れであるといえるでしょう。医療機関がこの流れに対応していくためには、月1回のレセプト点検でレセプトを修正するという考えでは、根本的な解決策にはなりません。レセプト審査や個別指導に耐え得る「正しいカルテ、正しいレセプトを作る」ことこそが対策となるのです。
クラーク導入で記載が充実し、病名漏れも減少
医師の事務を補助する医療クラークの教育において、この「電子カルテではカルテとレセプトは一致して当然」という考え方は、当然踏まえる必要があります。メディプラザのクラーク研修でも審査・指導に耐え得るカルテを作るという意識の下、実務に基づいたカルテ記載を徹底的に勉強してもらっています。
また、これまでにクラーク研修を行った医療機関へのアンケート結果でも「カルテの記載が充実した」「病名漏れが減った」というコメントを多数いただいています。カルテを正しく書くことの大切さが十分に伝わっているのだと思います。
著者紹介
大西大輔(おおにし だいすけ) メディキャスト株式会社 メディプラザ統括マネージャー
2001年一橋大学大学院MBAコース卒業後、同年日本経営入社。2002年に医療機関の“選ぶ”を支援する展示場「メディプラザ」の1号店を東京(神田)に立ち上げ、その後2003年にメディプラザ大阪、2005年にメディプラザ福岡を順次開設。2007年より東京・大阪・福岡の3拠点を統括する統括マネージャーに就任。専門の医療IT分野については、医師会、保険医協会などの公的団体を中心にセミナー講師を多数実施。
【関連サイト】
電子カルテ活用のためのショールーム「メディプラザ」
医師の右腕を育成する「電子カルテ+クラーク養成講座」
医院・クリニックのオフィシャルホームページ制作システム「Wevery!」
メディプラザ特設ブース「地域包括ケアで活用できるシステム」
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