ニコンの子会社が、病理標本画像の保管・共有のワークフローを効率化する病理クラウドサービスを6月から提供する。インターネット経由でどこからでも病理標本画像を閲覧できるようになる。
カメラや顕微鏡などの光学機器メーカーであるニコンの子会社、ニコンソリューションズは、病理標本画像の保管・共有のワークフローを効率化する病理クラウドサービス「Nikon Pathology Cloud Service」の提供を2023年6月に開始すると発表した。
病理標本とは、手術や検査などで患者の身体から採取する組織や細胞で作る標本。病理標本は作成後に検体を一定期間は保管することや、撮影した写真のプリントアウトまたはデータを保存することが、病理関連の各種ガイドラインより推奨されている。
医療機関や研究機関などの病理標本を大量に扱う施設においては、標本の管理やスペースの確保が課題となっている。病理画像の解析においては、データを供覧しながら他の病理医に意見を求めるといったコミュニケーションを取るニーズが高まっている。
こうした課題に対し、Nikon Pathology Cloud Serviceでは病理標本画像をクラウドのインフラでデータ保管することで、インターネットが使用できればいつでもどこでも病理標本画像を閲覧できる仕組みを構築する。これにより即時性の向上だけでなく、管理・輸送コストの削減が可能だ。画像の拡大や縮小、回転などの操作をスピーディーに表示できるようになっており、複数の施設をつないだカンファレンスの円滑化につながるため、ナレッジの共有が進むことも期待できる(図)。
保管できる病理標本画像の種類としては、ニコンの顕微鏡や顕微鏡用デジタルカメラで取得した画像データに加えて、スライドガラス標本をスキャンする機器で用いる「バーチャルスライド」(WSI:Whole Slide Image)などがある。
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