「学習し続けるAI」が医療現場では“使えない”理由医療へのIoTとAIの導入はどのくらい進んでいるのか【後編】

デジタルヘルスケアの分野では、機械学習技術を活用して開発後に進化し続けるといった、従来とは異なる形の医療機器が開発されている。日米規制当局の動向と、最新技術の医療利用への課題について説明する。

2019年04月10日 05時00分 公開
[上田 奈々絵TechTargetジャパン]

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 前編「IoTとAI技術は医療の現場でどのように役立つのか」では、医療分野でのIoT(モノのインターネット)活用について紹介。医療分野でのIoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)技術の活用について紹介。医療分野で利用されるAIシステムの性能向上に、インターネットに接続するIoTデバイスで収集したデータを活用できる可能性を示した。後編では公益財団法人の医療機器センターの付属機関である、医療機器産業研究所で調査研究室長を務める鈴木孝司氏の話を基に、医療へのAI技術の応用事例と、AIシステムに対する日米の規制当局の動向について説明する。

医療へのAI活用の大前提とは

 AIシステムを診断と治療に利用するときに重要な点の一つは、医師の最終判断が必要かどうかだ。日本では厚生労働省が2018年12月に各都道府県向けに出した事務連絡(医政医発1219第1号)で、AIシステムは支援ツールにすぎず、診断と治療をする主体は医師だと明記している。診断を「支援」する場合のみ医療現場でAIシステムが利用できる、ということだ。

 診断を支援するシステムとは、どのようなものなのか。鈴木氏は例としてCAD(コンピュータ支援診断)システムを挙げる。例えばAIエンジンを使って、乳がんの病巣の特徴と共通したパターンを検出できるCADシステムの場合、医師はそのデータを「チェック漏れを防止するための参考」にすることができる。診断支援に該当するからだ。ただし病気を早期発見する「スクリーニング」や、病気の診断を確定する「確定診断」といった、診断そのものに使用することはできない。

 医療現場で診断や治療などを支援するソフトウェア(医療機器プログラム)を利用するには、医薬品医療機器等法(注)に基づく承認が必要だ。内視鏡分野では、2018年12月にサイバネットシステムの「EndoBRAIN」が承認された。この製品は、大腸の内視鏡画像をAIエンジンで分析、大腸ポリープが切除の必要な腫瘍性なのか、切除の必要がない非腫瘍性なのかを判断。腫瘍性ポリープである可能性を数値で出力するシステムだ。

※注:「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の略称。「薬機法」とも。

 鈴木氏が挙げた診断支援システムの例とEndoBRAIN。この両システムに共通する特徴は、市販後に学習でAIエンジンを更新することがなく、分析精度が変化しないことだ。

市販後に学習するAIは承認を取得できるのか

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