仮想アシスタントやチャットbotを活用
AI×フィットネス:Fitbit、Shft、Planet Fitnessの新アプリはここがスゴイ
AI技術の導入で続々と新たなサービスが登場するフィットネス業界。パーソナライズしたサービスを提供し、ユーザーの健康管理やトレーニングの効果を高めている。Fitbitから仮想アシスタントに至るまで、その状況を紹介する。
心拍計やGPS腕時計といった運動用の電子機器が普及するフィットネスやウェルネス業界で、AI(人工知能)技術の活用が広がっている。カロリー量、歩数、食事、ランニングルートなど、ヘルスケア分野のあらゆる要素にAI技術を組み合わせることで、新しいアプリが生まれている。
デジタルパーソナルトレーナー
フィットネスにおいてこれまで重点が置かれてきたパーソナルトレーニングは、人と人とのコミュニケーションをベースとする極めて実践的なものだった。だがAI技術を手掛ける新興企業がフィットネス市場に参入し、人間のトレーナーに会わなくても容易にトレーニングを実施できる仕組みを実現している。
ランニングのコーチングアプリを手掛けるShftは、AI技術搭載のバーチャルコーチアプリをリリースした。このアプリは、ユーザーごとのトレーニングの仕方を分析することで、そのユーザーに最適なトレーニングプログラムを提供する。ユーザーはモチベーションを維持し、目標達成を目指すことが可能だ。こうしたアプリは、従来のように人間のトレーナーのスケジュールに合わせる必要がないため、ユーザーは都合のいい時にトレーニングができる。その柔軟にスケジュールを組める点が魅力になっている。
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ヘルスケア分野でのAI技術活用
チャットbotと仮想アシスタントの基礎知識
フィットネスクラブのPlanet Fitnessが開発したアプリは、AI技術を使って個々のユーザーに適したアドバイスをしてくれる。アプリとジムの運動器具を接続でき、ユーザーはジムにあるさまざまな器具や用具の正しい使い方を学べる。それぞれのユーザーに合わせてトレーニングの動機付けをし、カスタマイズした最適なトレーニング手法を提供する。こうした機能のおかげで、ユーザーは目標の高さのためにプレッシャーを感じたり、新しい器具を試して恥ずかしい思いをしたりすることなく、自分のペースでトレーニングができる。正しいトレーニングのフォームや新しいテクニックを知ることもできるし、トレーニング時の安全性が確保されるという利点もある。
一方、Under ArmourがIBMの「Watson」を使って開発したアプリ「UA Record」は、ユーザーの身体活動レベルや、運動の頻度、栄養の摂取、睡眠時間といった日常生活に関する指標を基に、生活改善のための指導やアドバイスを提供する。このアプリは認識技術を使って個々のユーザー向けにカスタマイズしたトレーニングプログラムを提供する。コンピュータの視覚機能でどのような食事を摂取しているかを継続的に記録する他、ユーザーが住む地域の天気や見晴らしを基に、目標達成に向けた適切なトレーニングを提案する。
ウェアラブルデバイス
ウェアラブルデバイスでは、身体活動レベルや激しい運動に対する身体の反応を分析するAI技術を取り入れることでスマート化が進んでいる。大手IT企業やアパレル企業は、インターネットに接続できるインテリジェントなウェアラブルデバイスを開発している。こうしたデバイスはユーザーが自分の全身の健康状態を把握できるような機能を備えている。例えばウェアラブルデバイスを開発、販売するFitbitは、AI技術を使ったコーチング機能を備えたウェアラブルデバイスを提供している。ユーザーごとにコーチングの内容をカスタマイズし、トレーニングの進捗を支える他、遠隔で医師の診察を受ける機能を搭載している。
AI技術を組み込んだウェアラブルデバイスには、血糖値や血圧といった健康の指数の変化を認知する機能を搭載した製品もあり、病気の兆候の発見、早期治療が可能だ。ユーザーのジョギング時の走るペースを調整したり、ウエイトリフティングのトレーニング中にフォームを矯正するよう助言したりすることで、けがの予防を支える製品もある。
パーソナルトレーナーもAI技術を使ったウェアラブルデバイスを利用している。遠隔で顧客の活動状況を観察し、どの程度進歩したか、健康問題がないかなどをパーソナルトレーナーがチェックする。その他、顧客の健康状態に関する分析、ストレス値の追跡、休憩の提案、ユーザーに適した呼吸法や誘導瞑想(めいそう)の提案などもウェアラブルデバイスを使ってパーソナルトレーナーが実施している内容だ。パーソナルトレーナーは、顧客の蓄積された活動時のデータを利用することで、顧客がアプリに接続している時間だけでなく、接続していない時間でもトレーニング管理や健康管理をサポートできる。
顧客サービス支援
フィットネス業界では、AI技術が収益拡大、顧客満足度の向上などに貢献している。ジムやフィットネスクラブでは大量のデータが生成されるものの、特に小規模のジムではそのデータを分析に活用できていないケースが少なくない。AI技術を使えば、ジムやフィットネスクラブの経営者はデータを分析によって顧客の性別、年齢、運動の好みといった特性、傾向を把握し、事業の収益拡大につなげるきっかけを見いだすことができる。
販促ツールにAI技術を使えば、パーソナライズした顧客とのコミュニケーションが実現する。顧客のプロファイルデータと、顧客の行動を基にトレーニングした機械学習モデルを組み合わせる。これによってジムやフィットネスクラブは、自動通知機能を使って個々の顧客にカスタマイズした情報を発信できる。顧客のプロファイルデータを有効利用することで、ジムやフィットネスクラブは顧客のニーズをより深く、広く理解する。その理解を基にカスタマイズした提案を行うことで、結果的に投資利益率(ROI)の向上が実現する。
仮想アシスタント
仮想アシスタントやチャットbotが世界的に普及している。医療機関やフィットネスクラブはこうしたツールを活用することが可能だ。顧客サービス用のチャットbotはさまざまな質問に応対する。従業員は単純な労働から解放されて、より価値の高いクリエイティブな仕事に専念できる。
チャットbotは24時間、年中無休で稼働し、常に肯定的、前向きな姿勢を保つ。運動を始めたばかりで質問をためらいがちな顧客でも遠慮せずに質問を出せる。仮想アシスタントは、顧客の運動のフォームや生活習慣を改善させるための具体的な指示まで出すことができる。
既往症(過去にかかった病気)のある人は、例えば仮想看護師のような治療を目的とした新しいツールを利用できる。仮想アシスタントは24時間体制のサポートを提供する。治療を望みながらも、自分が抱える治療面での不安について人に相談することをためらっている患者に対しても、いつでも仮想アシスタントは応対する。応対内容は、医療や健康に関する一般的な問題から、複雑な治療、疾病管理まで多岐にわたる。
世界のフィットネス産業の市場は巨大だ。フィットネスクラブや小規模なジム、健康・トレーニング管理のためのアプリやウェアラブルデバイスがこの産業に含まれる。肥満率が世界的に高まるいま、減量やトレーニングの支援をしてくれるツールや技術が必要とされている。
ヘルスケアを支援するツールへのAI技術の活用は既に有用性が実証されている。デジタルトレーナーのような新たなツールが普及することで、AI技術による産業へのプラス効果は今後も拡大するだろう。
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