2025年10月のサポート終了を前に、教育機関のWindows 11移行が急務となっている。単純なOS更新と考えがちだが、実は学校全体のセキュリティ対策に直結する重要な課題だ。
MicrosoftのクライアントOS「Windows 10」のサポート終了を2025年10月14日に控え、「Windows 11」に未移行の人や組織は早急な対応を迫られている。「教育機関も決して例外ではない」と、マネージドサービスプロバイダーEspriaの、セールスディレクターであるスティーブン・クック氏は断言する。
教育現場では、「夏休み後まで移行を先送りするのは問題ない」という声も聞かれるが、実際にはそれほど悠長に構えている余裕はないという。どのような問題を押さえておくべきのか。
Windows 10のサポート終了への対応は、セキュリティを確保する上で優先的な課題となる。クック氏は次のように語る。「オンライン学習プラットフォームやデジタル学生記録、教職員間のコミュニケーションまでITが浸透している。結果、サイバーセキュリティの課題は一段と複雑化している」
「攻撃が増加する中、学校や大学の教育担当者およびIT責任者は、テクノロジーを活用した学習環境に政府が求めるインフラ保護要件が伴うことを理解すべきだ。例えば、全ての端末は安全な構成とパッチ管理をサポートしなければならない。Windows 10からWindows 11への移行は、2025年10月14日までに完了させる必要がある」(クック氏)
同氏は、サポート終了後に状況がさらに複雑化する前に、学校が速やかにWindows 11へ投資するよう訴える。「夏は多くの学校が翌学年度に向けたテクノロジー刷新を計画し、予算を編成する時期だ。しかしWindows 10のサポートが終わる以上、“延長サポート”は応急処置に過ぎない。公式の期限を無視することは許されない」
学校ではPCをコンピュータ実習室や教室で利用している。だがクック氏は、OSアップグレードの検討範囲はそれにとどまらず、教育機関全体に及ぶと指摘する。「PCは真っ先に思い浮かぶが、実際にはもっと広範囲の機器が対象となる」と同氏は説明する。Windows 10で稼働するあらゆる機器を対象にしなければならないからだ。例えば以下がある。
まずはWindows 11に対応できない非互換端末の種類と台数を把握し、交換または更新の優先順位を決める必要がある。同氏はさらに、「互換性のあるWindows 10デバイスも一部には存在するが、要件を満たしていないデバイスではWindows 11へのアップグレードはできない。更新ボタンを押すだけで自動完了する単純作業ではない」と強調する。
ITベンダーApogeeのマネージドITサービス部門責任者であるサム・プロクター氏は「全体としてWindows 10からWindows 11への移行は当初の想定ほど進んでいない」と述べる。
一方でプロクター氏は「端末を最新OSで安全に稼働させ、適切なパッチを途切れなく適用できる状態を保つことが不可欠だ」と訴える。教育機関のIT環境は、学習だけでなく個人情報保護の観点からも万全のセキュリティ体制が求められているからだ。
翻訳・編集協力:雨輝ITラボ(リーフレイン)
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