企業でAI技術を最大限に活用するには、学習や推論といった処理を支えるインフラが不可欠だ。そうしたインフラを構築する際のこつとは何か。Cisco Systemsの幹部に、AI利用を成功させる「3つの柱」を聞いた。
人工知能(AI)技術は進化を遂げ、最近は自律的にタスクをこなす「AIエージェント」が広がりつつある。企業はAIエージェントを使うことで、さまざまな作業の自動化を図れる。AIエージェントの力を引き出すには、ネットワークをはじめとしたインフラが重要な役割を果たす。Cisco Systemsは、AI技術利用のためのネットワーク強化策として「3つの柱」を提唱している。具体的にはどのようなものなのか。
Cisco Systems最高製品責任者(CPO)のジートゥ・パテル氏によれば、画像やテキストを自動生成するAI技術「生成AI」の登場によって、技術は現在、人類史における大きな転換期を迎えている。この変革に不可欠なのが、高速で低遅延なネットワークインフラだと同氏は説明する。
パテル氏は、AIインフラとして進化が必要な要素を「電力」「計算能力」「データ」だと述べつつ、ネットワークの制約がしばしば軽視されている点に注意を促す。「AI用GPU(グラフィックス処理装置)は高速ネットワークがなければ力を発揮できない」と同氏は述べる。
Cisco Systemsシニアバイスプレジデント(エンタープライズ接続・コラボレーション担当)のアヌラーグ・ディングラ氏は、AIインフラに関する「3本柱」と、Cisco Systemsが提供する関連技術を以下のように説明する。
Cisco Systemsは、企業のネットワーク運用を簡素化するための統合管理システムを提供している。この管理システムは、ネットワークスイッチ「Cisco Catalyst」と「Cisco Meraki」をクラウドサービスで一元管理できる構成となっている。企業はこの管理システムを使うことによって、ネットワーク全体を1つの画面で監視できるようになる。
この管理システムにはAIアシスタント機能も組み込まれており、企業のネットワーク構成の管理や障害対処を支援する。AIアシスタントの内部ではAIエージェントが自律的に動作しており、AIエージェントについてディングラ氏は「IT運用を根本から支える存在だ」と語る。
Cisco Systemsシニアバイスプレジデント(AIソフトウェアおよびプラットフォーム担当)のDJ・サンパス氏は、AIエージェントを活用するためのインフラ構築はもちろん、そのインフラを運用する体制作りも欠かせないと強調する。
ディングラ氏は、AIインフラには専用のネットワーク機器が不可欠だとみる。同氏によれば、その需要拡大を見込んで、Cisco Systemsは拡張性やセキュリティを重視したネットワーク新製品を順次投入することを計画している。主な新製品は以下の通りだ。
ディングラ氏によれば、Cisco Systemsは独自のチップアーキテクチャを採用し、ネットワーク機器自体にセキュリティ機能を組み込む設計を進めている。主なセキュリティ要素は次の通りだ。
パテル氏は、「AI技術は過大評価されているという意見があるが、むしろ過小評価されている」と述べる。特にAIエージェントの登場によって、AI技術はこれまで掲げられてきた理想像を現実のものにしつつあると同氏は考える。企業がAIエージェントの恩恵を受けられるようにするには、いち早く最適なインフラを構築することが急務だ。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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