オーストラリアの医療系NPOがクラウドサービスを活用し、調達や支払いのシステムを刷新した。同NPOが従来抱えていた課題と、システム刷新による成果とは。
オーストラリアで介護やヘルスケアなどのサービスを提供するNPO(非営利団体)HammondCareは、調達や支払いに関するシステムをクラウドサービスに移行した。同NPOは、調達システム分野のコンサルティングを手掛けるValta Technology Group(以下、Valtatech)の支援を得て、Coupa Softwareのクラウド型ビジネス支出管理(BSM)ツール「Coupa」を導入した。
Coupaは、調達や支払いといったプロセスの電子化や、取引状況の可視化をする機能を持つ。HammondCareとサプライヤーとの取引はCoupaを介したやりとりに切り替わった。これにより同NPOは、入札結果の通知といったやりとりを手作業で管理する必要がなくなり、取引状況をいつでもCoupaで確認できるようになった。それに加えて、Valtatechが提供する書類の読み取り技術を導入したことで、請求書類の読み取り作業の効率性と正確性が改善した。
クラウドサービス導入という広範にわたる取り組みの中で、調達システムの更改はHammondCareにとって重点分野の一つだった。同NPOがクラウドサービスを導入する目的は、まずはITインフラを管理する負担を軽減すること。もう一つは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の中で広がったサイバー攻撃を踏まえた、セキュリティ対策の強化だ。「サイバー攻撃に狙われやすい“レガシーシステム”となっていた調達システムの更改を真っ先に進めた」。同NPOの調達部門で責任者を務めるアーロン・パスフィールド氏はそう経緯を語る。
クラウド移行の具体的な方法を検討する際は、「Valtatechが支えになった」とパスフィールド氏は言う。特に、
などについて、Valtatechの助言のおかげでよく理解できたという。
HammondCareには自組織のシステムを熟知したソフトウェアチームがある。そのチームの助けもあり、Coupaの導入は速やかに実現した。パスフィールド氏によると、Coupaへのデータ移行が主な作業になった。
「調達システムの更改によって、全ての事業支出を把握しやすくなった」とパスフィールド氏は語る。経費管理に使用していた従来のシステムでは、事業支出を完全に可視化することはできなかった。「Coupaの導入によってさまざまな経費の流れを追えるようになったことが最大の成果だ」(同氏)
Coupaが使い勝手の良いユーザーインタフェース(UI)を搭載していることから、HammondCareの従業員はすぐに新しいシステムの運用に慣れたという。Coupaの使い方に関するレクチャーは、パンデミックのさなかだったことから拠点で開催することはできなかった。その代わりにチュートリアル動画を配布したことで、結果的に時間節約になった。「今後は対面でレクチャーを実施する必要性は感じなくなりつつある」とパスフィールド氏は語る。
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