異例の“テレワーク中のクラウド移行”を英国組織はどう進めた?英国組織のクラウド移行とバックオフィス改革【前編】

新型コロナウイルス感染症の流行中、企業におけるシステム導入は従来と異なるものになった。英国の組織はどのようにクラウドサービスへの移行を進めたのか。

2022年11月30日 05時00分 公開
[Karl FlindersTechTarget]

 英国の金融ADR(裁判外紛争解決手続き)運営機関である金融オンブズマンサービス(FOS:Financial Ombudsman Service)は、クラウドサービス型の人事(HR)システムと財務システムを導入した。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によるロックダウン(都市封鎖)で従業員が在宅勤務を余儀なくされたことで、同社のシステム導入は標準とは異なるものになった。

異例だった“テレワーク中のクラウド移行”

 FOSは、消費者と金融サービスプロバイダー間の法的なトラブルを解決することを目的に英国会議員が2001年に設立した機関だ。同機関のサービスの利用者は毎年100万人以上に上る。

 2021年11月、FOSは提携するIBMの協力を得て、ERP(統合業務)システムベンダーWorkdayのHRシステムと財務システムを導入した。同機関は、Workdayが提供するクラウドサービスを足掛かりとし、バックオフィス(人事、経理、総務などの管理部門)全体のシステム刷新や、働き方の変革を目指す。

 FOSで最高情報責任者(CIO)を務めるニコラ・ワダム氏は、「レガシーシステムの廃止は目前だ」と語る。保管が必要なデータをアーカイブしつつ、データセンター利用の廃止を進めているという。

 COVID-19の流行前、FOSの従業員はオフィスに出社し、システムの利用方法について対面で相談することができた。それができなくなったため、FOSは従業員が気軽に利用できるオンライン相談窓口を用意し、適切なサポート情報を提供した。FOSの従業員は2週間のうち4日間出勤し、他の日は在宅勤務という、ハイブリッドな働き方をしている。


 中編と後編は、FOSがWorkdayのクラウドサービスを導入したことで創出した成果や、活用する機能の詳細について紹介する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news061.png

高齢男性はレジ待ちが苦手、女性は待たないためにアプリを活用――アイリッジ調査
実店舗を持つ企業が「アプリでどのようなユーザー体験を提供すべきか」を考えるヒントが...

news193.jpg

IASがブランドセーフティーの計測を拡張 誤報に関するレポートを追加
IASは、ブランドセーフティーと適合性の計測ソリューションを拡張し、誤報とともに広告が...

news047.png

【Googleが公式見解を発表】中古ドメインを絶対に使ってはいけない理由とは?
Googleが中古ドメインの不正利用を禁止を公式に発表しました。その理由や今後の対応につ...