米国政府機関は注意すべき脆弱性をカタログにまとめて公表している。これに新しく追加された脆弱性について、専門家は「企業におけるセキュリティの危機的状況が垣間見える」と指摘する。
2022年9月、米国のサイバーセキュリティインフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)は、脆弱(ぜいじゃく)性をまとめたカタログ「Known Exploited Vulnerabilities Catalogue」に6件の脆弱性を新しく追加した。セキュリティベンダーQualysの英国最高技術セキュリティ責任者ポール・ベアード氏はこの脆弱性追加に関して、「気になる点がある」と指摘する。
CISAのカタログに追加されたCVE(共通脆弱性識別子)のうち、4件は2013年に発見されたもので、1件は2010年に発見されたものだった。2022年のものは1件だけだ。「これはほとんどの組織がIT資産の状態を把握したりOSやソフトウェアを最新の状態に保ったりといった、リスク回避のための対策を講じていないことを示している」とベアード氏は指摘する。
脆弱性へのパッチ(修正プログラム)適用はサイバー攻撃を防ぐ重要な対策だ。しかし、ほとんどの組織にとってこの作業を継続することは困難となっている。パッチ適用だけではなく、古いシステムを最新のものに刷新することもセキュリティを強化する上で欠かせない。ベアード氏はCISAのカタログに掲載されている脆弱性について、「サイバー攻撃者が頻繁に悪用する脆弱性であり、組織にとって重大なリスクとなる」と訴える。
CISAがカタログに6件の脆弱性を追加した日の前日には、別の深刻な脆弱性2件がカタログに追加されている。1つ目の脆弱性「CVE-2022-37969」は、MicrosoftのOS「Windows」の脆弱性で、共通ログファイルシステムのドライバにおける不正な権限昇格につながる。これはWindowsの全バージョンに影響がある。Microsoftはこの脆弱性について、2022年9月の「Patch Tuesday」(Microsoftが月例で提供する品質更新プログラムの呼称)で対処した。
2つ目の脆弱性「CVE-2022-32197」は、Appleの「iOS」「iPadOS」「macOS」の脆弱性だ。未対処のままだと、アプリケーションがカーネルモード(制限なくコンピュータの機能を利用できるモード)でコードを実行する恐れがある。
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