IT業界は男性の方が多い傾向にあり、その原因は教育システムにあるという意見がある。当事者である学習者は、ITおよびSTEM科目についてどう考えているのか。10代女子が友人に聞いた印象を紹介する。
英国では、教育システムが女性のSTEM(科学、技術、工学、数学)科目の履修やキャリアの選択を阻止しており、そのことがIT業界で働く女性が増えにくい原因になっているという意見がある。本当にそうなのか。本連載は、英国の10代の女子学習者レベッカ・フリンダーズさんが、自ら聞いたITおよびSTEM科目に関する「10代男女の意見」を紹介する。フリンダーズさんは、英国の義務教育後の卒業認定資格「GCSE」(General Certificate of Secondary Education)取得に向けた準備教育課程で学んでいる。
私が通う学校のSTEM科目の勉強は、非常に難しい。10代の女子からすると、これらの科目を面白いと思うことはほとんどない。私はこれまでITを将来の仕事として考えたこともなければ、GCSEの準備教育課程に入る前にコンピュータサイエンスの授業を受けたこともなかった。10代の女子は、男子ほどITの仕事に就くことを奨励されていないと感じてきたからだ。もし私がGCSE準備教育課程に入る前に、もっとITの仕事に就くことを勧められていたら、ITに対する見方は違っていたのではないかと考えている。
こうした考えが正しいかどうかを確かめるため、私は複数の友人にSTEM科目が面白いかどうか、将来ITに関わる仕事に就きたいと考えているかどうかを尋ねてみた。友人のジェイレン(14歳女子)は、こう言った。「今、STEM科目に夢中になっているので、仕事としてやっていけると思う。挑戦することが好きだし、作品に命を吹き込むのも好き」。同様に、ヴィーナス(15歳女子)は「コンピュータサイエンスに興味がある。将来の進路として検討している分野の一つだ」と話した。
女子の誰もがITを現実的なキャリアとして考えているわけではない。ザラ(16歳女子)は、「科学や技術が得意ならやってみたい」と言いつつも、あまり興味がないようだった。ソフィア(15歳女子)に、IT業界でのキャリアを考えているかどうかを尋ねると、「コンピュータサイエンスにはあまり興味がないし、難易度が高過ぎるから無理だと思う」と答えた。友人は概してコンピュータサイエンスを楽しんでいるものの、半数以上は将来、ITを仕事にするかどうか迷っているようだ。
ITおよびSTEM科目が面白いかどうか、数人の男子にも聞いてみた。その中の一人、ディラン(12歳男子)は、人工知能(AI)技術に興味があるそうだ。ディランは「自分がITの世界に入る可能性は高い」と言った。
英国の大学入学資格「General Certificate of Education Advanced Level」(GCE A Level)取得に向けた準備教育課程でコンピュータサイエンスを学ぶアントン(17歳男子)も同様だ。アントンは、ITの世界に進むことについて「今や非常にエキサイティングなキャリアであることは間違いない」「雇用の安定につながる無限の機会や刺激が得られ、将来の進路として選ぶべき道だ」と話した。自身がITに関連したキャリアを選ぶかどうかについても、「どのようなキャリアを築いたとしても、ITが大きく関わってくることは間違いない」と語った。
私はこれほど多くの人がIT業界に興味を持っているとは考えていなかったので、この結果に少し驚いた。今回話を聞いた女子も男子も、ITを学びたいという気持ちは強かった。
女子からは、ITを学ぶことについて「やりがいはあるが難易度が高過ぎる」という指摘があった。10代女子の私からすると、若い女性に対するSTEM科目の教え方が面白くないことと、こうした科目が女子に奨励されていないことが原因ではないかと考えている。
男子は、ITの勉強についての苦労をほとんど口にしなかった。女子よりも男子の方が、ITのキャリアに挑戦することを奨励される機会が多くあるためだと私は考えている。
後編は、フリンダーズさんが考える「女性がITおよびSTEM分野を難しいと感じる理由」を紹介する。
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