レガシーシステム脱却に乗り出した米老舗
銀行大手JP Morganが“あのシステム”にもクラウドのメス
米国の金融サービス企業JP Morgan Chaseが、レガシーシステムの刷新を図るためにクラウド戦略を加速させている。その鍵となる、同社の次の一手とは。
老舗の米銀行大手を運営する金融サービス企業JP Morgan Chaseは、以前はクラウドインフラへのシステム移行に消極的な姿勢を示していた。だが同社の方針は変わった。システムの刷新に向けて、同社はどのような取り組みを進めているのか。
老舗銀行JP Morganが目指す“次世代の金融システム”とは
2022年9月、JP Morgan Chaseはクラウドインフラへのシステム移行を目的として、FinTech(金融とITの融合)企業Renovite Technologiesの買収を発表した。Renovite Technologiesは米国カリフォルニア州に本社を置き、英国とインドにオフィスを構えている。
JP Morgan Chaseによると、この買収は「世界規模の次世代決済処理システムを開発する」という同社の目標達成を後押しするものだ。Renovite Technologiesは、クラウドインフラで利用することを前提にシステムを開発する「クラウドネイティブ」のアプローチを用いて決済技術を構築する。その決済技術が、JP Morgan Chaseの企業財務サービスや貿易金融サービス、カード決済サービス、加盟店向け決済サービスなどを統合した決済サービスの一部となる。
JP Morgan Chaseで決済技術部門のグローバル責任者を務めるマイク・ブランディーナ氏は、「Renovite Technologiesの加盟店向け決済サービスは、顧客へのサービス提供において既に役に立っている」と話す。Renovite Technologiesの技術がJP Morgan Chaseの決済サービスと統合することで、加盟店として契約した顧客は世界中でさまざまな決済方法を利用でき、ビジネスの成長を促進できるようになる。
Renovite TechnologiesのCEO兼創設者ビレン・ラナ氏は、「当社のミッションは、最新技術を用いて近代化したクラウドインフラを顧客に提供することだ」と述べる。ラナ氏は今回の買収について、「次世代インフラを使って顧客にトップクラスの決済機能を提供するという、当社とJP Morgan Chaseの共通のビジョンを実現できる」と話す。
JP Morgan Chase以外にも、老舗銀行がシステムをクラウドインフラに移行することでレガシーシステムからの脱却を目指す動きはある。その理由として以下が挙げられる。
- レガシーシステムの維持コストが負担となっている
- 新しいデジタルサービスを構築して市場投入する際の手法を柔軟に選択できない
老舗銀行はクラウドインフラへのシステム移行を円滑に推進するため、専門性を持つFinTech企業を巨額の資金で買収する傾向がある。買収以外にも、銀行がFinTech企業の技術を生かす方法はある。その一つが、FinTech企業のサービスを使ってレガシーシステムを置き換えることだ。
例えばJP Morgan Chaseは、英国のFinTech企業Thought Machineがクラウドインフラ向けに提供する勘定系システム「Vault」に、米国内の銀行の勘定系システムを移行すると2021年9月に発表している。
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
2
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
3
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
4
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
5
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
6
「IT運用・情報システム業務」に関するアンケート
-
7
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
8
AI導入が失敗する“真犯人”は現場のマニュアル 7割が陥る「標準化」のわな
-
9
被害額は過去最高額 それでも「サイバー犯罪者が捕まらない」3つの理由
-
10
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
8
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
9
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
10
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー