アジア大手の医薬品流通会社であるZuellig Pharmaが、製薬企業向けにBIサービスを立ち上げた背景には、どのような課題意識があったのか。ユーザー事例とともに紹介する。
アジア地域の大手医薬品流通会社であるZuellig Pharmaは、同社の顧客である製薬会社向けのデータ分析基盤を構築した。同社はこの仕組みを「サービスとしてのビジネスインテリジェンス」(BIaaS:Business Intelligence as a service)と呼んでいる。Zuellig PharmaがBIaaSを立ち上げた背景とは。
Zuellig Pharmaがデータ分析部門の「Zuellig Pharma Analytics」を通じてBIaaSを提供したのは、製薬企業がエンドユーザー(医療機関、調剤薬局、患者など)の行動を適切に理解して、顧客ロイヤリティー(忠誠心)を獲得できるようにするためだった。同社は「医薬品業界には、高度な分析と信頼性の高いデータ分析ができる仕組みがない」と考えていた。
Zuellig Pharmaの顧客の一社である台湾の大手製薬会社は、Zuellig PharmaのBIaaSを活用してサービスの質を改善する実用的な洞察を得ている。例えば「糖尿病の医薬品はどのような診断に対してどのように処方されたか」といった洞察だ。
Zuellig PharmaのBIaaSは、患者が治療を求める頻度や、医薬品の種類を変えるタイミングを分析し、参照できる。それによって得られた洞察は、2型糖尿病の患者が治療に関して何を求めているかを判断するのに役立つ。台湾の製薬会社の事例では、患者の行動を細部まで理解して顧客エンゲージメントを高める適切な戦略を展開し、自社ブランドへのロイヤリティーを高めることができた。階層化されたデータを多種多様なアプローチで分析することによって、台湾の製薬会社は顧客ロイヤリティーを大きく向上させることができた。自社の医薬品から他社の医薬品に乗り換える患者の数も抑えることができた。同社の大口顧客の約半数は同社のシェア拡大に貢献したという。
台湾の製薬企業がZuellig PharmaのBIaaSを導入することになったとき、Zuellig Pharmaは導入を支援するために、アジア地域のメンバーとグローバルのメンバー30人でデータ分析チームを結成し、専用のサポートを提供した。各メンバーが、アーキテクチャからデータエンジニアリングまで広範に、専門的役割と職務を担ったという。
Zuellig PharmaのBIaaSが生成する洞察は、Zuellig Pharma独自のデータセット、データパートナー(Zuellig Pharmaにデータを提供する組織)の処方薬データ、疾患について公開されているデータに基づいている。このデータセットは、医薬品製造工場や医療機関の処方箋など、Zuellig Pharmaが事業活動を通じて厳選し収集したデータを含んでいるのが特徴だ。
中編は、医療業界のデータ分析基盤に求められる「プライバシー」と「セキュリティ」を支える技術について解説する。
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