Googleの医学研究機関「Google Health」は人工知能(AI)技術に関する、ある論文を発表した。乳房専用のエックス線検査「マンモグラフィ」による乳がん検診時の画像診断に、AI技術を利用した場合の検出精度を評価した論文だ。AI技術を用いた乳がんのスクリーニング(選別)検査の精度は、人の放射線科医よりも高かった。この結果は、乳がん検診の精度向上を目指す臨床研究の「道を切り開く」というのが論文の見解だ。
2020年1月に国際的な総合科学ジャーナル「Nature」に掲載された「International evaluation of an AI system for breast cancer screening」(乳がん検診AIシステムの国際評価)で、Google HealthおよびGoogle傘下のAI研究企業DeepMind Technologiesの研究者は、この論文で乳がん検診AIシステムの特徴について説明し、米国と英国の女性被検者のデータに基づいた結果を公開した。論文によると、Google Healthの乳がんAI検診システムは、ほぼ全ての症例について人の専門家よりも高い診断精度を示した。
この取り組みを称賛する専門家もいるが、論争も巻き起こしている。オレゴン健康科学大学(Oregon Health & Science University)の医学部で准教授を務めるビナイ・プラサード氏は自身の「Twitter」アカウントで「Google Healthのマンモグラフィに関する論文には不備がある」とツイートしたところ、医療関係者から何百通もの返信が寄せられた。
このツイートで議論の的になったのは、乳がん検診AIシステムが機能するかどうかではない。プラサード氏が批判する最大のポイントは、そもそもなぜこのようなアルゴリズムが作られたのかだった。乳がんの研究者が目指すべきは、より多くの一般人を診断することではない。より侵襲性の低い形で、がんが良性なのかどうか、既に転移しているのかどうかを判断することだ。これは放射線科医でも判断が難しい。「Google Healthの乳がん検診AIシステムは、放射線医学分野におけるAI技術の重要な進化を証明する」と主張する医療関係者もいる。
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