病院のBYODで想定すべきリスクと対策
「電子カルテを私物スマホで見たい」を安全にかなえる方法は?
医療機関は患者情報などの機密データを扱うため、セキュリティ対策とデータ保護は特に重要だ。医療機関で私物端末の業務利用(BYOD)が一般的になると状況は複雑になる。最低限どのような対策が必要か。
「モバイルデバイスはデスクトップPCよりも安全である」という神話は正しくない。医療の現場で使うモバイルデバイスのセキュリティを維持するには、保護状態を維持する方法をユーザーに思い出させるためのさまざまな取り組みをする必要がある。
併せて読みたいお薦め記事
モバイルアプリケーションで変わる医療
- 患者の個人情報をスマホアプリで安全に扱う仕組みとは 「EASE」の例で確認
- 患者満足度9割超えも 医師と患者を近づける「モバイル医療アプリ」の実力
- 臨床の現場でスマートフォン向けアプリケーションの利用は進んでいるのか?
医療現場における、セキュリティと利便性のトレードオフ
医療機関のIT部門にとって、医師が保有する個人デバイスの保護と管理は難しい。IT部門は通常、個人のデバイスでは個人のコンテンツに干渉する可能性があるツールの使用を強制できないからだ。医師が電子カルテなど病院のシステムにある患者のデータにアクセスするために個人用デバイスを使用している場合、そのデバイスを紛失するとデータセキュリティの懸念につながる。権限のないユーザーがデータにアクセスすると、米国ではHIPAA(米国における医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令)の違反に直結するからだ。
スマートフォンは、コミュニケーションからショッピング、仕事関連のコンテンツへのアクセスまで幅広い目的で使用されるようになり、必須のアイテムになった。医療機関で働くモバイルユーザーは、病院や診療所で通話中あるいは巡回中であっても、迅速かつ容易に医療記録にアクセスできる。
モバイルデバイスで医療データを安全に利用できるようにする方法
機密性の高い医療データにアクセスする医療従事者の間で、モバイルデバイスのセキュリティを確保するには、私物端末の業務利用(BYOD)に関する特別なセキュリティポリシーを策定する必要がある。どのようなデバイスやセキュリティ製品も完璧ではない。Appleの「iOS」では2019年に少なくとも156件の脆弱(ぜいじゃく)性が報告されている。
攻撃者はモバイルデバイスの脆弱性を利用して悪意のあるコードを実行し、標的のデバイスを制御しようとする。モバイルデバイスが攻撃されると以下のような問題がすぐに発生する可能性がある。医療におけるモバイルデバイスのセキュリティ侵害だ。
- 電子カルテなど病院のシステムに関連するクレデンシャル(IDやパスワードなど認証に必要な資格情報)の盗難
- モバイルデバイスの外部ストレージ内に保存された業務関連ファイルの暗号化
- 患者と医師の個人的な会話の盗聴
- 従業員のモバイルデバイスでテキストメッセージとして共有される個人情報の漏えい
- GPS(全地球測位システム)位置情報の収集
このような現実に直面し、IT部門はモバイルデバイスをデータ侵害から保護するための取り組みを続けている。モバイルデバイスの保護に役立つ以下の重要な推奨事項について、モバイルワーカーを教育することが重要だ。
- ベンダーから入手可能な最新のファームウェアで、モバイルデバイスを常に最新の状態にしておくこと
- デバイスメーカーが推奨するアプリケーションストアからのみアプリケーションをインストールすること
- モバイルデバイスを「Jailbreak(脱獄)」「root化」しないこと
- アプリケーションへの支払いを免れるための「アプリケーションの横流し」をしないこと
- ウイルス対策ソフトウェアを必ずインストールすること
- 必ずパスコードを使用してデバイスをロックすること
IT部門が潜在的な感染や侵害を完全に阻止するには、セキュリティの認識と教育だけでは不十分だが、まずはここから始める必要がある。多要素認証、高度なネットワーク脅威検出、アプリケーションのコンテナ化などの他のテクノロジーは全て、感染したモバイルデバイスが環境に与えるダメージを最小限に抑えるのに効果がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[ポールトゥウィン株式会社] 開発スピードと品質を両立、DONUTSが実践する「ハイブリッドなQA体制」の構築術 -
製品レビュー
[ポールトゥウィン株式会社] 開発スピードと品質は両立できる? DONUTSの「ジョブカン」に学ぶQA戦略 -
市場調査・トレンド
[レッドハット株式会社] 「プラットフォームエンジニアリング」調査レポート:利点・課題・未来像を詳説 -
市場調査・トレンド
[レッドハット株式会社] 生成AI活用のためのテクノロジー基盤、構築に際しての7つの検討事項とは? -
製品資料
[レッドハット株式会社] ビジネスの現場へのAI導入と活用、何から始めてどのように進めるべきか?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
2
「RAGの利用」に関するアンケート
-
3
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
-
4
IT製品の導入に関するアンケート「PC&デバイス」編
-
5
IBM iのブラックボックス化を打破 資産継承と進化を実現する「IBM Bob」の実力
-
6
Nutanix+Everpure構成の実力は? 既存資産を生かす「脱VMware」の検証
-
7
BI導入の成否はプロジェクト企画段階で決まる!【第3回】
-
8
忙しいけど成果ゼロ 情シスの「静かな崩壊」を防げ
-
9
脱VMwareか、継続か? 仮想化ソフト主要6製品の料金とライセンスを徹底比較
-
10
一度は失敗、ある古着販売業者がたどり着いた「データ駆動型経営」の全て
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
2
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
3
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
4
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
5
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
6
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
7
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
8
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
9
ソフトウェア開発の属人化と手戻りをどう防ぐ? 速さと品質を両立させる方法
-
10
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー