手術室から患者の家族に最新情報を送信できるなど、「モバイル医療アプリ」は医療機関にも患者にもメリットをもたらす。ただしセキュリティの懸念は残る。
ドナルド・プラムレー医師は小児患者を手術する際、患者の容体を知らせるためにその家族を数時間待たせることはない。米フロリダ州オーランドにあるアーノルド・パーマー小児病院で、小児外科医兼最高品質責任者を務めるプラムレー医師の患者の家族には、30~45分おきに最新情報が伝わる。手術室で指名を受けた看護師が、HIPAA(米国における医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令)に準拠した医療用のモバイルアプリケーション(モバイル医療アプリ)を使って、手術室内の最新の情報をテキスト、写真、動画で家族に送ることができるからだ(写真)。
EASE Applicationsのモバイル医療アプリ「Electronic Access to Surgical Events」(EASE)を利用すれば、医師や看護師は、テキストや動画、写真で患者の家族とコミュニケーションを取ることができる。医師がいつ手術室を出て家族と会話できるかを知らせることも可能だ。家族が受け取ったメッセージは表示から60秒後、自動で消える。
プラムレー医師は、EASEによって患者の満足度評価が上がり、手術室の環境の透明性が高まったと説明する。
「EASEが提供する医療行為の透明性と、医療従事者とのコミュニケーションを、患者は高く評価している」とプラムレー医師は話す。情報の共有は、小児患者の家族との信頼関係を築くことに役立つという。プラムレー医師と同氏が率いるスタッフは、EASEを使うことで患者に対して、手術後のいつ、どこで家族と会えるかを伝えることができる。そのため患者の家族が医師やスタッフを探し回る必要はなくなる。「患者の家族は患者のケアに、従来よりもはるかに多く関わるようになっている。EASEはこの点でも医師にとって非常に価値あるものになっている」(プラムレー医師)
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