Appleは「Health Records API」を公開すると2018年6月に発表した。このおかげで優れたヘルスケアアプリが年内に登場するかもしれない。だがセキュリティや相互運用性に関する懸念は残る、と専門家は指摘する。
「Health Records API」を開発者に公開するというAppleの決断は、パーソナライズされたヘルスケアアプリ市場の追い風となる可能性がある。だがこの発表について専門家は、電子記録と個人の健康記録を統合させるという時間のかかるプロセスの第一歩にすぎず、プライバシー問題から相互運用性に至るまで、重大な課題が残っていると指摘する。
個人健康記録(PHR)へのアクセスに関してコントロール強化を求める消費者の声が高まる中で、Appleは大手として初めて、APIの公開に踏み切った。これは、ヘルスケアIT分野への進出を深める同社の動きの中では最新の一歩にすぎない。だがこの一歩が様相を一変させる可能性もある。
Smartpatientで最高技術責任者(CTO)を務めるウォルフラム・ケルル氏は、同社の医薬品管理PHRアプリ「MyTherapy」で、いち早くAppleの新しいHealth Records APIを採用した。
「これまでヘルスケアITとヘルスケアアプリはほとんど分断された世界だった。相互通信ができるのはプロプライエタリな環境に限られていた。Appleは2018年に入って投入したHealth Records APIで、業界標準のFHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources:迅速な医療情報相互運用のためのリソース)を使って『iPhone』を臨床システムに接続させた。今度は、このAPIを公開することで、開発者が初めて患者の用例を電子診療記録と結び付け、潜在的に膨大な量のインストールベースにアクセスできるようになった」(ケルル氏)
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