診療所向け電子カルテ製品紹介:NTTエレクトロニクステクノ
マルチデバイス対応の在宅医療向け電子カルテ「モバカルネット」
在宅医療では患者の診療情報を院外で閲覧したり、訪問看護師や介護スタッフなどと共有することが求められる。本稿では、在宅医療向け機能を搭載した電子カルテ「モバカルネット」を紹介する。
NTTエレクトロニクステクノが2012年8月に提供を開始した電子カルテ「モバカルネット」は、在宅医療現場の業務を効率化し、患者と接する時間を増やすことをコンセプトにしている。長年在宅医療に携わってきた「みらい在宅クリニック」(神奈川県横浜市)の沖田将人医師、「ゆう在宅クリニック」(神奈川県横浜市)の田村陽一医師の監修によって開発した。また、製品名は“モバイル”と“ネットワーク”に由来しており、「いつでも、どこでも、閲覧や入力が可能なクラウド型である」点がその特徴だという。
マルチデバイス対応の在宅医療向け電子カルテ
モバカルネットについて、NTTエレクトロニクステクノ 横浜サービス部 部長 上垣俊二氏は「在宅医療の特性を踏まえ、電子カルテの情報をどこでもすぐに閲覧・入力できることを目指して開発した。ノートPCやタブレット、スマートフォンなどでも利用でき、デバイスを選ばない点が特徴だ」と説明する。また、カルテ入力中にネットワーク接続が途切れた場合でも、過去カルテや検査結果の参照は可能で、入力内容も保持される。
在宅医療の現場では、患者宅を訪問したり移動したりする医師と、院内の事務スタッフの間でコミュニケーションを取りづらいことがある。モバカルネットは、そうしたスタッフ間の情報共有を支援する画面構成を取っている。例えば、システムにログインすると、画面中央に「連絡板」が表示される。この機能では、患者宅にいる医師が院内の事務スタッフに患者の保険番号を尋ねるといったリアルタイムなコミュニケーションが可能だ。
メイン画面の右側に当日訪問予定患者のスケジュールが表示され、その患者名をクリックすると患者カルテ画面に遷移する。また患者カルテ画面では、まず「重要メモ」が表示され、該当患者に関する確認事項や重要項目などを確認できる。
「在宅医療では、カルテの入力内容はある程度決まっている」ことから、モバカルネットでは主に、項目をテンプレート化したウィザードに従って入力する。その項目は「定期訪問」「電話再診」「往診」「外来」「夜間往診」など診療タイプによって異なる。例えば、「診察所見」では前回の入力内容が表示され、その差分のみを入力することで完了する。また「その他所見」項目は手書き入力できる他、入力内容をセット登録することで一括入力もできる。処方欄も同様に前回との差分修正で入力できる。その他、褥瘡評価ツール「DESINE-R」、長谷川式簡易知能評価スケール「HDS-R」などの評価機能も利用できる。
「外来患者と比べて、在宅患者は多くの情報を持っている。患者の基本的な情報とともに、患者のケアに携わる事業所やスタッフ、急変した場合の救急連絡先などの情報を共有する必要がある」(原野氏)。モバカルネットでは、そうした在宅患者特有の患者情報を共有する機能を利用できる。また、検査会社からの各種検査データを時系列で見たり、そのサマリーを表示したりすることも可能だ。
現場の負荷を軽減する「文書作成/管理機能」
「在宅医療や訪問看護の現場では、多くの書類を作成する必要がある。しかし、重複する内容も多く、書類作成のたびに同じ内容を何度も入力しなければならないことがある」(原野氏)。モバカルネットでは、そうした書類作成の負荷を軽減すべく、在宅医療や訪問看護に関連する24種類の文書の作成機能を標準搭載している。医師が記入したカルテの結果を診断リポートに自働的に反映でき、介護施設や調剤薬局などでもリアルタイムで見ることができる。
対応文書一覧
診断書、主治医意見書、診療情報提供所(医療機関/在宅)、訪問看護指示書、特別訪問看護指示書、死亡診断書、マッサージ同意書、居宅療養管理指導書、居宅療養管理情報提供所(ケアマネ 施設/居宅)、訪問診療報告書(訪問看護用)、訪問薬剤管理指導書、在宅医療計画書、在宅医療計画書(痴呆なし)、診療情報報告書、診療リポート(居宅療養管理情報提供書)、フリー書式文書、喀痰吸引指示書、居宅療養管理指導書(宛先有)
また、医療事務スタッフを支援する機能も搭載している。例えば、「書類ボックス」機能では、各種文書をカテゴリで分けて保存する。加えて、在宅医療で必要となる物品の管理機能も利用でき、器具の交換頻度や処置日付などを記録することも可能。さらに、日付単位で各担当者それぞれの活動履歴を俯瞰できる「カレンダー」機能などを備えている。
多職種間の情報連携も支援
在宅医療では多職種連携における情報共有の難しさが課題に挙げられることがある。モバカルネットは、患者情報の共有基盤としても利用できる。例えば、主治医と連携担当医におけるクリニック間での情報を共有する仕組みを提供。電子カルテや検査データなどの全てのデータをネットワーク経由で共有できる。
また、訪問看護やケアマネジャー、薬剤師、連携病院などとの多職種連携を実現する「モバカルリンク」ネットワークサービスも提供している。これは、モバカルネットを導入したクリニックが連携先の施設や事業所を登録し、個別のURLを発行。そのURLにアクセスすることで各種文書を閲覧できる。このネットワークサービスにより、これまでFAXや電話で実施していた連絡や情報共有をオンラインで実現できるという。
さらに、看護記録や交換記録、看護系文書(計画書)などを管理する訪問看護向けの支援機能を搭載している。その他、患者宅の地図の表示や訪問患者のルートを検索する機能、写真やメモなどによる患者記録機能なども搭載。加えて、外来患者の順番待ちを一覧表示するため、外来診療にも対応できる。
クラウド型である利点
モバカルネットでは院内にサーバがないため、盗難の心配や災害時の情報の損失の恐れがない。また、ログイン時にはID/パスワードが求められる他、SSLクライアント証明書を保有する端末のみ閲覧が可能だ。「金融機関で求められるレベルと同様の堅牢なセキュリティを備えている」(原野氏)
初期導入費は20万円、月額利用料金は5万円
モバカルネットは日医標準レセプトソフト「ORCA」と連動し、ORCA導入済みの医療機関では最短2週間でサービスの利用が可能。未導入の場合は、データ移行などの作業を含めて2カ月程度で利用可能になる。初期導入費は20万円、月額利用料金は5万円。
モバカルネットは、みらい在宅クリニックや「やまと在宅診療所」などで導入されている。やまと在宅診療所では「機能がシンプルなので入力しやすい。直接顔を合わせることが少ない医療事務スタッフと医師とのコミュニケーションが円滑になるという効果もある」と評価しているという(関連記事:ICTを活用した高齢者の地域包括ケア「プロジェクトやまと」が始動)。
NTTエレクトロニクステクノでは、政府が今後より在宅医療にシフトすることを踏まえて、医療と介護の両方を支援することを目指し、介護向け支援機能の提供を予定している。
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