Alexaはまだ、医療分野での広範な普及には至っていないものの、患者とエンドユーザーの両方のエクスペリエンス改善に役立つ有望な用途が幾つかある。
デジタルアシスタントの「Amazon Alexa」はコンシューマー分野においてパワフルで役に立つ技術になった。Alexaを使えば、コンシューマーは自宅にいても移動中でも、手早く情報にアクセスしたり、音声コマンドでベーシックなタスクをこなしたりすることができる。だが、企業や医療分野では、Alexaのような音声アシスタントはまだ幅広い普及には至っていない。コンプライアンス上の懸念と、HIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)のような規制が大きな壁となって、仮想アシスタントの病院への参入を妨げている。だが、HIPAA順守が求められない医療分野でAlexaを活用できる可能性はある。
1日以上病院に入院した患者の多くは、主な接点である看護師に手助けを求める。だが、唯一の接点であるその相手が常にそこにいるとは限らず、それが患者にとってのフラストレーションになることもある。どんな食事があるのか、当直は誰かといった内容について質問したい。Beth Israel Deaconess Medical Centerのような病院は、HIPAAを順守しながら患者を手助けし、情報を提供する新しく便利な手段として、Alexaのような音声アシスタント技術を導入することで、そうしたリクエストに対応した。
「Amazon Alexa for Business」では、病院が独自のデジタル音声アシスタントを導入してさまざまなスマートスピーカーを管理し、ユーザーがシステムとやりとりできる。初期状態で利用できる機能には、天気予報やニュースなど、一般的な情報のリクエストへの対応が含まれる。病院は医療用のAlexaを使ってそうした機能を拡張し、音声アシスタントを内部システムに接続して、病室に特化したサービスを提供できる。これを利用すれば、患者は例えば「Alexa、部屋の電気を消して」「Alexa、看護師を呼んで」といったリクエストができる。そうしたコマンドのほとんどは便利であると同時に、患者の満足度向上に重要な役割を果たす。
IT部門がデジタル音声アシスタントの導入を検討する際に、まず頭に浮かぶ2大懸念は、ハードウェアの管理とサポートおよび導入に伴うトラフィックの増大だ。Amazonはエンタープライズツールに求められるデバイス管理の条件を満たし、IT部門のニーズにかなう堅実なプラットフォームを提供して、医療分野におけるAlexaの複数の用途に対応している。
Alexa for Businessは、エンタープライズユーザーに人気のあるインテグレーション機能の多くを提供する。同プラットフォームは初期状態で、病院ユーザーの電子メールやカレンダーと連携でき、音声コマンドでオフィス用品を調達できる。AVカンファレンスシステムとの統合により、エンドユーザーが音声通話やビデオ通話を開始できる手段も提供する。こうした用途であれば、Alexaが患者のデータを取り扱うことはなく、HIPAA順守を求められずに便利な機能を提供できる。
音声アシスタントは病室でも利用できる。Amazon Alexaは、初期状態では病院に関係した機能は提供できない。だが病院のIT部門は同プラットフォームの機能を拡張して、さまざまな病院のアプリケーションやサービスに接続できる。スキル構築の同プロセスでは、Alexaがより多くのシステムに接続する。一例を挙げると、患者がAlexaを使って病院の電話帳を調べられるスキルを構築できる。病院では他にも、食事のシステムに接続して毎日のメニューの内容をチェックできる用途も考えられる。
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