「Slack」から「Microsoft Teams」や「Google Chat」といった他ツールへの乗り換えを検討する場合、その判断が妥当かどうかを見極めるにはどのような点を検討すればいいのか。移行に失敗しないためのこつとは。
Slack Technologiesが手掛けるビジネスチャットツール「Slack」から、別のコミュニケーションツールに乗り換える企業がある。その場合の移行先の候補になるのは、Microsoftのユニファイドコミュニケーション(UC)システム「Microsoft Teams」や、Googleのオフィススイート「Google Workspace」に含まれるチャットツール「Google Chat」などだ。移行の際は、コストやワークフローなどに問題が生じないかどうかを慎重に見極めることが欠かせない。どのような点を検討すればいいのか。
乗り換えにかかる費用の他、ワークフローや機能の変更点を確認する上では、IT部門の責任者と財務部門の責任者が同席の上で議論を重ねることが欠かせない。エンドユーザーである従業員との意見交換も必要だ。従業員がどのような案件や業務でSlackを使い、どの程度Slackでのコミュニケーションに時間を費やしているのかといった情報を収集しておこう。
Slackを利用してきた中で生じた“目に見えないコスト”をどれだけ正確に把握できるかも、Slackからの乗り換えを検討する上での重要なポイントになる。
サードパーティー製アプリケーションとSlackを連携させたり、カスタムワークフローを使用したりしている場合は注意が必要だ。それらと同様の連携やカスタムワークフローを、移行先ツールで再現するためのコストを考慮する必要があるためだ。その際には、以下の表でまとめた点を考慮するとよい。
再現する場合 | 再現しない場合 |
---|---|
ツール連携とカスタムワークフローを再現できるとは限らない | カスタムワークフローで実施していたプロセスを手作業でやることになるため、人為的ミスが発生する可能性がある |
新しいツールとサードパーティーアプリケーションを連携させるためのコストと時間が発生する | 業務の生産性が低下し、スケジュールに支障を来したり、業務の処理速度が落ちたりする可能性がある |
ワークフローの再設計や修正が必要になる | ワークフローが使えなくなる |
サードパーティーアプリケーションとの連携や、カスタムワークフローを見直す機会になる | 特になし |
Microsoft TeamsやGoogle Chatといった新しいツールを導入する場合は、従業員のトレーニングが必要になる場合がある。トレーニングの時間や費用、使用に慣れるまでの業務生産性の低下には注意が必要だ。
Slackから他ツールへの乗り換えを経営幹部に判断してもらう際は、事業部門とIT部門の重要な関係者が一堂に会する場を用意することが鍵になる。その際は従業員の意見に基づいたデータを用意する他、経営幹部に受け入れてもらえる予算額を提示するようにしよう。
会社の業績が低迷している場合、従業員の声は説得材料にはなりにくい。経営幹部は従業員の声よりも、ビジネスにおけるメリット予算額をより重視して判断する傾向になるからだ。
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