Slackから別のコラボレーショツールに乗り換える企業は、コスト削減や経営戦略だけを理由にしているわけではない。企業が乗り換えに踏み切っている背景を探る。
Slack Technologiesが手掛けるビジネスチャットツール「Slack」は、コラボレーションツールを率先して採用してきた企業の主な選択肢だった。その後、コラボレーションツールとして幾つかのツールが台頭する中で、Slackから乗り換える動きが目立ち始めている。Slackから別のツールに乗り換える企業には、どのような事情があるのか。
Slackからの乗り換えの候補になっているのは、
といったコラボレーションツールだ。
IT業界では、企業のレイオフ(一時解雇)に関する報道が飛び交っている。支出の抑制が求められる中で、利用中のSaaS(Software as a Service)の契約更新を精査し始めている企業がある。Slackもその選択肢となる場合がある。
Microsoft TeamsやGoogle Workspaceに加えてSlackのライセンスを購入することは、企業にとっては「費用を余計に払っている」という認識につながることがある。例えばSlackは、Zoom Video Communicationsのコラボレーションツール「Zoom Workplace」と連携できるが、両方を一緒に使うためにはそれぞれの利用契約が必要だ。チャットに加えてWeb会議が可能なツールに移行すれば、Zoomを解約する選択肢が生まれ、ライセンス費用を削減できる。経営状態が厳しい企業であれば、従業員が使い慣れたツールではなく、より多くの機能を低予算で利用可能なコラボレーションを優先して契約せざるを得なくなる。
2021年にSlack Technologiesを買収したSalesforceの以下の動向も、乗り換えを加速させる要因だ。
Salesforceの利益率低下や、不況、ユーザー企業の意思決定の長期化による販売サイクルの長期化が、大幅な価格変更につながる恐れもある。
Slackの乗り換えを加速させる別の要素として挙げられるのが、コンプライアンス(法令順守)やセキュリティの確保で生じるコストだ。厳しいコンプライアンス要件を抱える業界の企業が、コンプライアンスやセキュリティの観点から「Microsoft 365」やGoogle Workspaceを標準のオフィススイートとして採用することを決定したとする。その場合、チャットツールをSlackではなく、Microsoft TeamsやGoogle Chatにするのは自然な選択だ。
サードパーティーアプリケーションと連携できることがSlackの強みだ。ただし、連携のためのセキュリティ対策や管理にコストがかかり、IT部門の予算や管理能力ではまかない切れなくなる場合があることも、Slackからの乗り換えを促す一因になる。
後編は、Slackからの乗り換えを検討する上で必要な要素を紹介する。
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