iPhoneが搭載する「ChatGPT連携」は本当に“便利で安全”なのか?OpenAIとApple提携の影響【第3回】

AppleのAI新機能「Apple Intelligence」からは、OpenAIの生成AIツール「ChatGPT」の機能も利用できる。この機能で何が便利になるのか。Appleユーザーにとっての安全対策は十分なのか。

2024年09月21日 08時00分 公開
[Sean Michael KernerTechTarget]

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 Appleは独自の人工知能(AI)システム「Apple Intelligence」を同社のOSに実装して、「iPhone」「Mac」など同社のデバイスから利用できるようにする。同社はApple Intelligenceの提供においてAIベンダーOpenAIと連携することも明かしている。Apple Intelligenceから、OpenAIの生成AIツール「ChatGPT」の機能を利用できるようになる。

 Apple IntelligenceとChatGPTの連携によって、何が便利になるのか。Apple製品のエンドユーザーであれば、安全対策が十分なのかどうかも気になるはずだ。

iPhoneの「ChatGPT連携」は本当に便利で安全なのか

 ChatGPTの機能は、AppleのOS「iOS 18」「iPadOS 18」「macOS Sequoia」に組み込まれる計画だ。Apple製品のエンドユーザーがChatGPTを利用する仕組みはさまざまだ。例えば、Appleの音声アシスタント「Siri」がクエリに回答する際、必要に応じてChatGPTの知識を活用する。Appleのデバイスに搭載されたライティングツールからも、ChatGPTを活用した文章の校正や要約が可能だ。加えて、ChatGPT経由で画像生成AIモデル「Dall-E 3」も利用できるようになるという。

 Apple Intelligenceのエンドユーザーは、アプリケーションを切り替える必要なくChatGPTの機能を利用できる。OpenAIのアカウントを作成する必要もない。有料版「ChatGPT Plus」を利用している場合は、アカウントを接続すればChatGPT Plusのオプション機能にAppleのデバイスからアクセスできる。

 SiriやAppleのライティングツールがChatGPTを呼び出す際は、都度エンドユーザーに許可を求める。他にもAppleは以下のようなアプローチを取ることで、エンドユーザーのプライバシーを確保している。

  • オプトイン(承諾)方式の採用
    • アプリケーションからChatGPTに自動でアクセスしない。アプリケーションからChatGPTを呼び出す場合、エンドユーザーは都度同意を求められる。こうしたオプトイン方式の採用が、重要なプライバシー保護措置となっている。
  • データ共有の制限
    • AppleはOpenAIとエンドユーザーの個人情報を共有しない誓約を交わしている。ChatGPT経由の問い合わせが、エンドユーザーのAppleアカウントにひも付けられることはない。OpenAIがChatGPT経由のやりとりを保存したり、Appleのエンドユーザーの個人情報をモデルのトレーニングに使用することもない。
  • データの透明性
    • Appleはエンドユーザーのデータの取り扱いに関して透明性を確保するよう努めている。特に、AIモデルを使用する際、デバイスのカメラやスクリーンのデータがどのように扱われているかといった懸念に対処するものだ。
  • IPアドレスの保護
    • Appleは、Apple IntelligenceからChatGPTを呼び出すエンドユーザーのIPアドレスを非公開にしている。

開発におけるプライバシー対策とは?

 Apple Intelligenceは、テキストおよび画像を扱う複数のAIモデルで構成される。これらAIモデルの開発やトレーニングには、Apple独自の機械学習フレームワーク「AXLearn」を使用した。3億個ものパラメーター(機械学習の調整に利用するための数値)を持つLLMも含まれており、テキストの要約や生成で力を発揮するという。

 トレーニングデータは、公開データとライセンスデータを組み合わせたものを使用した。Appleは「AIモデルのトレーニングに当たり、個人的なデータやユーザーインタラクションを決して使用しない」と強調している。冒涜(ぼうとく)的な言葉やコンテンツについても、トレーニングデータから除外しているという。


 次回は、AppleとOpenAIの提携が業界にもたらす懸念について解説する。

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