Appleが提供する「Apple Intelligence」とはどのようなAIシステムなのか。Apple Intelligenceが連携する生成AIツールでもある「ChatGPT」と、10個の観点で比較する。
Appleは独自の人工知能(AI)システム「Apple Intelligence」を同社のOSに実装し、「iPhone」や「Mac」といった同社のデバイスで利用できるようにすることを公表している。
Apple IntelligenceではAIベンダーOpenAIの生成AIツール「ChatGPT」が利用できるようになる。ただしChatGPTはApple Intelligenceの中核的な機能とは別のものだ。両者は何が違うのか。Apple IntelligenceとChatGPTを10個の観点で比較する。
Apple Intelligenceは、AppleのOSに組み込まれるAIシステムだ。Appleのデバイスを利用するエンドユーザーの状況に応じてふさわしい情報や機能を提供する。
ChatGPTは、会話や文章生成に特化した汎用(はんよう)的な言語モデルで、言語に関する多様なタスクを処理できる。特定のタスクに限らず、広範な質問や指示に対処する。
Apple Intelligenceは、基本的にエンドユーザーのデバイスでデータを処理するが、一部はAppleのクラウドサービス「Private Cloud Compute」で処理する。
ChatGPTは、基本的にクラウドベースでデータを処理する。エンドユーザーが入力した情報は全てインターネットを介してクラウドインフラに送られ、そこで処理される。
Apple Intelligenceは、タスクごとに特化した複数の小規模なAIモデルで構成される。各機能はデバイスで迅速に処理されるように設計されている。
ChatGPTは1つの大規模言語モデル(LLM)を基にしている。膨大なデータで訓練された1つのAIモデルが、多様な質問やタスクを処理する。2024年9月時点でのデフォルトのモデルは「GPT-4o」となっている。
Apple Intelligenceは、Appleのアプリケーションやサービスなどに組み込まれており、エンドユーザーに一貫性のある体験を提供する。
ChatGPTは、基本的に独立したサービスとして提供される。つまり特定のシステムに組み込まれているわけではない。API(アプリケーションプログラミングインタフェース)経由で他のアプリケーションやサービスと連携できる。
Apple Intelligenceは、位置情報や連絡先といった個人データや、コンテキスト(その時々の状況)を活用して、エンドユーザーごとにサービスをパーソナライズする。
反対に、ChatGPTのパーソナライズ機能は限られている。直前のやりとりに基づいた回答を提供することはできるが、詳細な個人データに基づいたパーソナライズは基本的にできない。
Apple Intelligenceは、エンドユーザーの生産性向上を目的としたサービスだ。以下のような日常的なタスクを支援する。
ChatGPTは、以下のような言語に関するさまざまなタスクを処理できる。
Apple Intelligenceは、Appleのデバイスでのみ使用できる。
ChatGPTは、WebやAPI経由でさまざまなデバイスから使用できる。
Apple Intelligenceは、基本的にデータをデバイスで処理し、クラウドインフラでの処理を最小限に抑えている。これにより、エンドユーザーの個人情報が外部に流出するリスクを軽減できる。
ChatGPTは、基本的にクラウドインフラでデータを処理する。クラウドインフラのサーバを活用することで大規模な計算処理が可能だが、セキュリティやプライバシー面の対策をエンドユーザー側で考える必要がある。
Apple Intelligenceは、Appleが独自に開発したAIサービスだ。Apple製品との統合性が大きな強みとなる。
ChatGPTはAI技術の研究と商業利用を目的に、OpenAIが開発した。さまざまなタスクやアプリケーションに使われることを前提にしている。
Apple Intelligenceは、Appleの各デバイスの機能や性能を最大限生かせるように、特別に設計されている。
ChatGPTは、デバイスに依存しない汎用的なサービスだ。WebやAPIを介して幅広いデバイスから利用できる。
次回は、Apple Intelligenceのプライバシーに関する取り組みについて解説する。
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