メモリモジュール規格「DIMM」と「SO-DIMM」の違いは何か。近年台頭しつつある「CAMM」が両者に与える影響と併せて解説する。
メモリの一種「DRAM」(Dynamic Random Access Memory)に採用されているメモリモジュール規格に、「DIMM」(Dual Inline Memory Module)と「SO-DIMM」(Small Outline Dual Inline Memory Module)がある。両者の違いは何か。近年、採用が拡大している「CAMM」(Compression Attached Memory Module)との違いと併せて解説する。
DIMMのDual Inlineは、基板の両面に1列ずつ、合計2列の信号ピン(信号を送受信するための端子)の列があることに由来する。これによりDIMMは基板の両面で別々の信号を処理できる。1980年代主流だったメモリモジュール規格「SIMM」(Single Inline Memory Module)では、Single Inlineという名前の通り、1列しかなかった。
現在、一般的なPCはレジスタードバッファ(データの読み書きを安定させるための集積回路)を搭載していない「Unbuffered DIMM」を採用している。本記事でのDIMMはUnbuffered DIMMを指す。
DIMMとSO-DIMMはサイズが異なる。現在主流のメモリ規格「DDR5」(Double Data Rate 5)のDIMMの大きさは通常、133.35(横幅)×30(高さ)ミリだ。横幅が133.35ミリと中途半端だが、これはDIMM規格が標準化された際のDIMMのサイズに由来する。SO-DIMMは通常、横幅がDIMMの半分より少し長い67.6×30ミリになる。
SO-DIMMの片面に配置できるDRAMの数は最大8個だ。コストや物理的なスペースを節約するため、コンシューマー向けのSO-DIMMでは一般的に「パリティ」(2進数の誤り検出符号)や「ECC」(Error Correction Code:誤り訂正符号)機能を省略している。とはいえ、パリティとECCはSO-DIMMでなくともコンシューマー向けのPCに一般的に搭載されている機能ではない。
DIMMはSO-DIMMよりも物理的に大きいため、より多くのメモリを搭載できる。そのため、デスクトップPCやサーバ用ハードウェアはDIMMを採用している。
PCベンダーは、さまざまなメモリ容量と価格帯の製品を販売している。スロットにDIMMを追加してメモリ構成を大きくしたデスクトップPCやサーバ用ハードウェアもあれば、一部のスロットを空のままにして販売するモデルもある。
購入後に自分で追加することも可能だ。PCベンダーやメモリベンダーからDIMMを購入し、PCやサーバの空きスロットに追加したり、既にあるDIMMを取り外してよりメモリ容量の大きいDIMMに入れ替えたりといったことも可能だ。
それに対してSO-DIMMは、物理的に小さいため、ノートPCなどの小型、薄型のデバイスに採用されている。小型、薄型のデバイスでは、物理的により小さいSO-DIMMが適している。
横幅の長さとピンのノッチ(切り欠け)の位置が異なるので、DIMMとSO-DIMMに互換性はない。小さいからといってSO-DIMMをDIMMスロットに挿入しようとしても、DIMMスロットの両側のラッチ(対象を固定したり保護したりする仕組みのこと)が閉まらない。
近年、メモリモジュール規格CAMMの勢いが増している。CAMMのフォームファクター(大きさや形状などの仕様)はDIMMやSO-DIMMと異なる。CAMMはスロットに差し込むのではなく、基板上の専用スペースに配置し、その上にカバーを被せてネジで固定する。
米国の電子部品関連の標準化団体であるJEDECがCAMMの第2世代となる「CAMM2」を2023年に発表した。CAMM2はSO-DIMMと比較して、以下のメリットがある。
これらのメリットからノートPCなどでは今後CAMM2の採用が進んでいく可能性がある。
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