電子カルテをデータ連携の拠点にした院内システムでは、個別システムのデータを他システムで呼び出すことが難しい。岩手医科大学は課題解決のために医療用ミドルウェア「Health Connect」を導入した。
岩手医科大学は矢巾キャンパス内の新附属病院の開設に向けて、複数の場所にある附属病院と関連施設のシステム集約を進めている。電子カルテをはじめとしたシステム間のデータ連携には、InterSystemsが提供する医療情報連携製品群「HealthShare」の一つであるミドルウェア「Health Connect」を導入した。2018年10月11日開催のインターシステムズジャパン主催イベント「Healthcare Seminar 2018」で、岩手医科大学総合情報センター副センター長を務める田中良一氏が、電子カルテを中心とした従来の病院情報システムの課題と、ミドルウェアを用いた医療情報連携の効果について語った。
岩手医科大学は現在、岩手医科大学附属病院、岩手医科大学附属花巻温泉病院、医師卒後臨床研修センター、歯科医師卒後臨床研修センターという4つの関連施設を運営している。院内システムの整備前は、4施設合わせて研究や臨床に関する部門システムを50個以上、事務系などその他のシステムを含めると計100個以上の部門システムを運用していた。2019年9月、岩手県矢巾町に新病院を開設することを契機に、部門システムと医療情報の整備を開始した。
従来の院内システムは、電子カルテを中心に多数の部門システムが相互連携する形だった。田中氏は「電子カルテは基本的に上意下達のシステム。部門システムのデータを電子カルテで表示するような仕組みに乏しい」と表現する(写真1)。手術記録、看護記録などのデータは多くの部門システムに分散していたため、電子カルテと部門システム同士を連携させるには、独自プロトコルで個別に接続する必要があった。「電子カルテ頼りのシステムは拡張性に欠け、膨大なカスタマイズが必要なことも欠点だった」(同氏)
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