診療所経営の見える化を実現するPMS(Practice Management System:病院向け経営支援システム)。登場の背景には「もっと楽に電子カルテやレセコンのデータ分析をしたい」という、医師の切実なニーズがあります。
医療機関のIT化は他の業界に比べて5〜10年は遅れているといわれます。また、医療現場でIT製品を導入する際、スタッフから不安の声が上がるなど、多かれ少なかれ障害が発生します。なぜ、医療現場にITが浸透しないのか。その理由を探るとともに、解決策を考えていきます。
前回の「診療予約システムに見る、医療とITの良い関係 ポイントは『患者の来院管理』」では、医療とITのより良い関係づくりの例として「診療予約システム」を紹介しました。今回は、電子カルテやレセプトコンピュータ(以下、レセコン)などに蓄積したデータの活用について考えてみます。
医師に「本日は何人くらい患者さんが来ましたか」と質問すると、大抵の医師は電子カルテの画面を見て、「○人です」と簡単に答えることができます。しかし「本日の患者当たり平均単価はどれくらいですか」「前年に比べて利益は改善しましたか」といった質問に対しては、とっさに答えられる医師が少ないように感じます。
これらの事例について、筆者は学生時代にコンビニエンスストアでアルバイトをしていた時のことを思い出しました。コンビニエンスストアのPOS(販売時点情報管理)システムには「来客目標に対する進捗(しんちょく)率」や「顧客の平均購入単価」などがリアルタイムに表示、共有されており、アルバイトであっても閲覧が可能でした。このような状況に比べると、診療所において「経営の見える化」がいかに遅れているかが分かるでしょう。
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