医療機関のIT化は他の業界に比べて5〜10年は遅れているといわれます。また、医療現場でIT製品を導入する際、スタッフから不安の声が上がるなど、多かれ少なかれ障害が発生します。なぜ、医療現場にITが浸透しないのか。その理由を探るとともに、解決策を考えていきます。
新しい医療スタイルを求めて、遠隔診療やモノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)などさまざまな先進的な事例を紹介するセミナーが増えてきました。医療は新しい技術を積極的に取り入れ、飛躍しようとしています。
遠隔診療を導入している医療機関を取材して、筆者はある衝撃を受けました。そこには、従来の枠組みを超えた新しい視点を持った医師たちが、ITの効果を素直に享受しようとしていたのです。ITを導入することが目的であった時代から、ITを活用してどんな効果を得るかという「IT活用」の時代に、わが国もようやくたどり着いたのだと感じました。
遠隔診療は前回「医療クラウドと遠隔診療の規制緩和は医療のIT化を後押しするのだろうか?」でも紹介しました通り、Webカメラとモニターを通して患者を診療する仕組みです。その形態から「オンライン診療」と呼ぶこともあります。この仕組みは、クラウドコンピューティングやスマートデバイスという技術/製品が実現した、新たな診療スタイルです。
「実際に患者に触れて診察しなければ診断は下せない」という考え方に対して、前述の“新しい視点を持った医師たち”は全く同意しています。この医師たちは、はじめのうちは患者全体の1割か2割ほどしか遠隔診療の対象者とはなり得ないことを十分に理解しているのです。
その医療機関は、引っ越しや出産といった理由から、直接来院し継続的に受診することが難しくなった患者に対して、受診機会を提供するために遠隔診療を取り入れていたのです。遠隔診療を活用している医師の1人は「遠隔診療は患者にとって“お守り”のようなものです。いざというときに使ってもらえればそれでいいのです」と、遠隔診療の意味を説明していました。
「遠隔診療の仕組みがあるだけで、継続的に医師とつながることができ、距離の壁も時間の壁も小さくなる」と、ある医師は語りました。この仕組みは、日本だけではなく世界で受診機会を創造することもできるのです。「かかりつけ医」を推進しているわが国にとっては、遠隔診療が継続受診のための重要なツールであると考えます。
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