人工知能(AI)に加えて、ASIというキーワードが登場した。ASIは何か。AIやAGIとはどう違うのか。
社会のさまざまな場面で人工知能(AI)の活用が広がりつつある。AIに加えて、汎用(はんよう)人工知能(AGI)や人工超知能(ASI)いうキーワードを耳にするようになった。ASIとは何か。AIやAGIとは何が違うのか。
AIの関連技術には以下がある。
応用例としては、以下がある。
ASIの開発に当たっては、まず人間と同等の能力を持つAGIを実現することが前提となる。記事執筆時点(2025年1月)では、特定分野において人間と同様の能力を持つAIは存在する。チェス関連のビジネスを手掛けるドイツの企業ChessBaseが提供するプログラム「Fritz」もその一つだ。しかし、あらゆる分野で人間の能力を超えるAIはまだ出現していない。
人間の脳にはさまざまな機能が備わっているが、生物的な限界はある。ASIの目的は、そのような限界を超えることを目指すものだ。AIシステムの能力が人間の知性を上回るタイミングを、一般的にシンギュラリティ(技術的特異点)と呼ぶ。
ASIは、さまざまな分野で人間の能力や限界を超えると考えられる。一方専門家からは、ASIの実現そのものに懐疑的な見方を示す声や、ASIが人類にとって脅威となる可能性を指摘する声が挙がっている。
ASIの実現には、以下に記載する技術の進化が不可欠だとされている。
NLPを活用し、人間の言語を再現する。OpenAIの「ChatGPT」やGoogleの「Gemini」が代表例だ。ASIがテキストデータの要約、人間との会話、原稿の執筆といったタスクを処理するうえで、LLMを必要とする。
ASIは、あらゆる形式の情報を組み合わせる能力が必要になる。従来のNLP、「コンピュータビジョン」(画像処理を通じて対象の内容を認識し、理解する技術)、「音響信号処理」(音や音の信号を認識、分析、加工する技術)といった技術は、特定の形式のデータしか処理できない。そのため、テキストだけでなく、音声や画像など複数のデータ形式を扱える「マルチモーダルAI」の技術が不可欠だ。
ANNは、複数の機能を並列に、あるいは階層的に処理し、運用する。人間の認知能力を超えるためには、ANNのさらなる進化が不可欠だ。
「ニューロモルフィックコンピューティング」は、人間の脳の構造を模した計算技術だ。コンピュータはデータの処理と保存を別々に実行する。一方、ニューロモルフィックコンピューティングを使えばデータの処理と保存を1つのニューロン(人間の脳の神経細胞を模倣した電子回路や計算ユニット)で実行することが可能だ。専門家の中には、ニューロモルフィックコンピューティングの計算能力、可塑性、耐障害性が、AI技術の発展に重要な役割を果たすと指摘する者も存在する。
「進化的アルゴリズム」(Evolutionary Algorithms)は、進化論や自然淘汰を再現するアルゴリズムだ。複数のAIモデルを生成し、優れたモデルを選別して次世代に引き継ぐことで、AIを競争と淘汰の過程で進化させる。各モデルは、各選択期間の間に能力と性能を向上させ、最終的に競争を通じてASIへと進化することが期待される。
AIが自律的にプログラミングすることで、将来的により高度で知的なコード生成の進化が発生し、AIが処理できる分野やAIの能力を底上げすると考えられている。
人間の脳全体の構造をスキャンし、その神経接続をデジタルで忠実に再現する技術だ。人間と同等の知能を持つ「デジタル脳」の構築を目指している。
脳インプラントは、脳に直接チップを埋め込む技術だ。イーロン・マスク氏が設立した医療系ベンチャー企業Neuralink Corp社などが開発する。人間の脳に外科的に埋め込まれたチップは、脳の構造と統合することで、機能、認知、知能、創造性といった領域を強化する。複数の人間の脳がネットワークを通じてつながる「ハイブマインド」という概念もある。これは、複数の個人の知識や思考がリアルタイムで統合することで、一人の人間では実現できない高度な知性を実現することを目的とする。脳インプラントとハイブマインドによって、人間同士の融合、人間とAIの融合が加速し、ASIを構築できると考えられている。
TechTarget.AI編集部は生成AIなどのサービスを利用し、米国Informa TechTargetの記事を翻訳して国内向けにお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...