システムの不具合や攻撃を予測するためには、ログ管理が有効だ。ログ管理ツールはオンプレミスシステムに導入する他、クラウドサービス「LaaS」を利用する選択肢もある。LaaSの利点と注意点とは。
ログ管理は、システムが正常に動いているかどうかを把握できるので、企業にとって重要な取り組みだ。システムのログデータを管理して分析する方法の一つとして、クラウドサービス「Logging as a Service」(LaaS)の活用がある。ログ管理ツールをクラウドサービスとして導入するメリットとデメリットとは何か。LaaSの主要なベンダーと製品も含め、解説する。
LaaSはSaaS(Software as a Service)の一形態であるため、以下をはじめとするクラウドサービスならではのメリットがある。
監視ツールベンダーSolarWindsが大規模なサイバー攻撃に遭った後、米国家安全保障局(NSA)は、企業に対してセキュリティ向上のためにクラウドサービスへの移行を推奨した。攻撃者が脆弱(ぜいじゃく)な社内システムに侵入した後、権限を昇格させるために、MicrosoftのID・アクセス管理システム「Active Directory」の不適切な設定を悪用する例が目立ったからだ。対策として、クラウドサービス版の「Azure Active Directory」(現「Microsoft Entra ID」)への移行が有効だとNSAは指摘している。これは、LaaSのようなマネージドサービスがいかにセキュリティ強化に貢献できるかを示す好例だ。
一方で、LaaSには以下のデメリットもある。
こうしたデメリットがありつつも、LaaSに検討の価値があるのは、ログ管理システムの導入や運用に関して、社内のスキルや人員、予算が不足していても、ログ管理に取り組みやすいからだ。特にオープンソースソフトウェア(OSS)を使ってログ管理システムを構築しようとすると、高度な専門知識が必要になる。
LaaSに合わせてクラウドストレージを利用することによって、ログデータを保存するためのストレージ費用も削減できる可能性がある。クラウドストレージサービスには、Amazon Web Services(AWS)の「Amazon S3 Glacier」や「Amazon S3 Glacier Deep Archive」、Microsoftの「Azure Archive Storage」や「Azure Blob Storage」、Google Cloudの「Cloud Storage」などがある。
LaaSの主なベンダーとサービスは以下の通りだ。
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