「LaaS」とは【前編】
クラウド型ログ管理「LaaS」とは何か? 「SIEM」との違いは
システムが複雑化している中、ログデータを分析し、不具合や攻撃を「先読み」することが重要だ。ログ管理ができるサービスとして「LaaS」がある。LaaSとは何かを見てみよう。
「Logging as a Service」(LaaS)とは、システムのログデータを管理して分析するクラウド型サービスを指す。ログデータはハードウェアやソフトウェアが正常に動いているかどうかを把握するための重要な情報源だ。ログデータの分析を通じて、不具合や攻撃の兆候をつかむことができる。
LaaSに類似するツールとして「SIEM」(Security Information and Event Management)がある。両者の具体的な違いと、LaaSの概要を解説する。
ポイントは守備範囲 LaaSとSIEMの違いはこれだ
LaaSによく似ているツールとしてSIEMがある。SIEMはセキュリティ情報を分析し、脅威を監視したり検出したりすることに役立つツールだ。LaaSとSIEMは両方とも、システムのログデータを管理、分析する点において共通している。セキュリティベンダーは両者を明確に区別しないこともあり、大半のSIEM製品はLaaSの機能を含む。一方でLaaSベンダーがSIEMの機能を提供することもある。
「どこを重視するか」がLaaSとSIEMの主な違いだ。SIEM製品は基本、セキュリティに関するデータを主な分析対象とする。セキュリティ以外のデータも取り入れ、ログデータを総合的に分析することはしない。これに対してLaaSはセキュリティだけではなく、ハードウェアやソフトウェアによる不具合といった異常も含め、ログデータを広い視点で分析することが特徴だ。
LaaSとは何か
システムのログデータを収集して異常の発見につなげることは、昔からある手法だ。かつてシステムのログ収集対象は、単一のメインフレームやサーバにとどまっていた。しかしネットワークを用いたシステムの拡張が進み、仮想マシン(VM)やコンテナ、クラウドといった技術が普及するにつれて、ログデータが爆発的に増加し、複雑さも増すようになった。
こうした背景から、かつてのように「手動」ではなく、効率的にログデータを分析するためのツールが広がっている。その一つがLaaSだ。
LaaSは一般的に、以下の機能を備える。
- 複数のソースからのデータ収集
- データの集約と照合
- 運用ポリシーを踏まえたデータ管理とアーカイブ
- 数百TB以上のストレージの管理
- データの検索とフィルタリング
- 条件に応じたアラート
- レポートやダッシュボードなどによるデータの視覚化
- データ分析、パターン検出、異常検知
企業はLaaSを使用して、システムの全てのソースからデータを集約することで、システム全体の動作を追跡可能になる。
ログデータは通常、テキストファイルに書き込まれる。ファイル形式は、「syslog」や「JSON」(JavaScript Object Notation)、「共通イベント形式」(CEF)、「W3C拡張ログ形式」、「コンマ区切り値」(CSV)などになる。
LaaSの提供形態は主に2つある。1つ目は、ベンダーがログ管理に必要なインフラをクラウドサービスとして提供し、インフラの運用管理を代行するマネージドサービス型だ。専用インフラを使い、LaaSをプライベートクラウドとして利用できるサービスもある。2つ目は、複数のクラウドサービスやソフトウェアをユーザー企業自身が組み合わせてログ管理システムを構築するアプローチだ。
後編は、LaaSのメリットとデメリットを取り上げる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[ファインディ株式会社] AI利用率だけでは説明できない成果 開発組織の競争力を生む「開発資本」とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] AI活用を成功へ導く、シンプルで費用対効果に優れたクラウド基盤とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] マネージドKubernetesには限界も――メリットをフル活用する新たな選択肢とは? -
技術文書・技術解説
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] 決断の日が迫る「vSphere 8」サポート終了問題 考慮すべきリスクと選択肢は? -
製品資料
[サイバーソリューションズ株式会社] メール誤送信対策のルールが肥大化 苦しむ情シスはどうすれば救われるのか?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
「アップグレードできないJava」をどう守る IBMとRed HatがAIで400件超修正
-
3
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
4
Copilot導入で陥る“目的化”の落とし穴 定着の鍵は「作り込まない」こと
-
5
パッチなしで「今すぐサーバを落とせ」 Kiteworks異例警告の波紋
-
6
kintoneで実践 製造業のための「見積もり管理」改善のヒント
-
7
「IoT通信環境の構築・運用」に関するアンケート
-
8
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
-
9
祝10周年! 創業者も予想できなかったRaspberry Pi活用例
-
10
「サイバー犯罪株式会社」に潜入 現地調査で判明した“犯罪者求人”の実態
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
4
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
5
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
6
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
7
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
8
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
9
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
10
マンガで学ぶXDR/MDRのメリット、中小企業のセキュリティ強化になぜ有効か?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー