米国の研究チームが、AI技術を活用して膠芽腫における性別特有のリスク因子を分析した。いかにAI技術を活用し、どのような因子を明らかにしたのか。
性別特有の脳腫瘍のリスク因子はあるのか――ウィスコンシン大学マディソン校(The University of Wisconsin-Madison)の研究チームは、悪性神経膠腫(HGG:High Grade Glioma)の性別特有のリスク因子を特定するために人工知能(AI)技術を活用した。いかにAI技術を活用し、どのような因子を明らかにしたのか。
HGGの一種である膠芽腫は一般的な原発性脳腫瘍だ。テキサス大学MDアンダーソンがんセンター(The University of Texas MD Anderson Cancer Center)によると、米国では毎年約1万2000件の新規症例が診断されている。診断後の平均生存期間は15〜18カ月で、5年生存率は約10%にとどまる。
これまでに判明している膠芽腫のリスク因子はいくつかある。研究チームによると、膠芽腫は50歳以上の白人男性が発症することが多く、男性患者の方が侵攻性(腫瘍が広がる可能性の程度)が高い傾向がある。
腫瘍がどの程度急速に成長するかを予測する因子を特定することは、困難といわれている。これらのリスク因子や性別による違いを明らかにするため、研究チームは機械学習を用いて分析した。
「がん患者を治療する過程で、医療機関は膨大なデータを収集できる。しかし、こうしたデータはサイロ化された状態で研究されがちだ。ここにAIを活用する意義がある」。ウィスコンシン大学マディソン校の放射線学および生物医学工学のアソシエートプロフェッサー、パラヴィ・ティワリ氏はこう説明する。
「研究チームは、診断から治療の予後、治療効果測定までの一連の流れで発生した課題を包括的に対処したいと考えている」(ティワリ氏)
研究チームは、「ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色」と呼ばれる手法で染色した組織のデータを使ってディープラーニング(深層学習)モデルを訓練した。腫瘍の微小環境(腫瘍の周囲に存在する細胞や構造物、分子など)における性別特有の特徴を識別し、予後のリスクプロファイル構築に寄与するかを検証するためだ。
結果として、男性では偽柵状配列細胞(特有の核の配列を持つ細胞)の存在、女性では腫瘍の侵攻性といった、性別にひも付くリスク因子が浮き彫りになった。
研究チームは、研究結果を以下の治療法に生かすと説明する。
この研究結果は論文「Sexually dimorphic computational histopathological signatures prognostic of overall survival in high-grade gliomas via deep learning」として2024年8月発行の学術誌『Science Advances』34号に掲載された。
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