キーボード入力で生成AIに問い掛け、音声入力でAIチャットbotを操作する――AI技術はさまざまな技術と英知の結晶だ。AIはどのような技術や理論で構成されているのか。歴史からひもとく。
人工知能(AI)技術の歴史は、1930年代の計算理論までさかのぼる。本稿では、1930~1972年にかけて開発され、現代AI技術の基礎を形成した技術や理論を紹介する。
ジョルジュ・アルツルーニ氏が、紙テープ式翻訳装置「メカニカルブレイン」を発明した。この装置は単語を機械的に変換(翻訳)するもので、フランスで特許を取得している。一説では、これが機械翻訳に関する世界で初めての特許とされている。
言語学者のノーム・チョムスキー氏が『統辞構造論』(Syntactic Structures)を出版。自然言語文の解析、生成のための文法規則を説明し、構文解析や文法チェックなどの言語学に関連する技術の発展に影響を与えた。
コンピュータ科学者のアイバン・サザランド氏がGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)や対話的インタフェースの基礎となる、対話型設計システム「Sketchpad」を発表。ユーザーが、ライトペン(ペン型のポインティングデバイス)を使って2D(2次元)コンテンツを描写、修正できる世界初のプログラムだ。1968年、ユタ大学(University of Utah)コンピュータ科学科の設立者で学部長だったデビッド・エバンス氏とEvans & Sutherlandを設立。両者の研究グループは、Pixar Animation Studios、Adobeの創業者をはじめ優れた人材を輩出した。
数学者で建築家のクリストファー・アレグザンダー氏がデザインの自動化に関する原則について論じた『Notes on the Synthesis of Form』(形の合成に関するノート)を出版。パラメトリックデザイン(パラメータを変えながら、膨大なデザインのバリエーションを生み出し比較するための3Dの設計手法)とジェネレーティブデザイン(パラメータに基づいて複数のデザイン案を自動で生成する機械学習の手法)に影響を与えた。1977年には『A Pattern Language』(パタン・ランゲージ)を出版し、建築分野だけでなく、ソフトウェア開発の手法に影響を及ぼした。
マサチューセッツ工科大学(MIT:Massachusetts Institute of Technology)教授のジョセフ・ワイゼンバウム氏が、自然言語処理プログラム(NLP)「ELIZA」を発表した。ELIZAは、心理療法士のカウンセリングをコンピュータに代行させる目的で開発された。現代のAIチャットbotの元祖とも言える。MITが2008年3月に公開した記事によると、ワイゼンバウム氏は「多くのクライアントがELIZAと向き合い、心を開いていることに衝撃を受け、後にAIに懐疑的になった」という。
同年、自動言語処理諮問委員会(ALPAC)は機械翻訳が期待されたほどの成果を得られていないとする報告書を提出したため、研究資金が大幅に削減された。
数学者のレオナード・バウム氏が、「隠れマルコフモデル」(HMM:Hidden Markov Model)を導入したのもこの年だ。HMMは後に音声認識、タンパク質分析、応答生成に活用された。
スタンフォード大学(Stanford University)コンピュータサイエンスの名誉教授、テリー・ウィノグラード氏が自然言語を理解するためのシステム「SHRDLU」を開発した。現代的なものとは技術的に異なるが、マルチモーダルAI(テキストや音声などの数種類のデータを組み合わせて処理するAI技術)の先駆けとして、ユーザーの指示に従ってさまざまな形の積み木を操作し、推論することができた。
ウィリアム・ウッズ氏が「拡張遷移ネットワーク」(ATN:Augmented Transition Network)を開発した。自然言語をコンピュータが処理できる形式に変換するためのグラフ理論的構造だ。NASA(米航空宇宙局)が主導したアポロ11号による月面着陸において、月の岩石を調査する際に利用した自然言語システム「LUNAR」を開発したのもウッズ氏だ。
イェール大学(Yale University)のコンピュータサイエンス、心理学教授で認知科学会の共同設立者を務めたロジャー・シャンク氏が、自然言語理解と推論に関わるプロセスを数学的に記述する、概念依存理論(Conceptual Dependency Theory)を開発、1972年に完成させた。
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