企業のナレッジや最新情報をLLMに取り込む手法として、「RAG」の採用が広がっている。LLMの限界を補完する有効なアプローチである一方、企業は実装段階で幾つかの課題に直面する。
大規模言語モデル(LLM)は、あらゆるトピックに関する質問に答えられるよう設計されている。しかしその回答は常に検証済みであるとは限らず、最新の情報に基づいていない場合もある。こうしたLLMの課題を補完する手法として注目されているのが「RAG」(検索拡張生成)だ。RAGは、外部のデータベースから必要な情報を検索・取得し、LLMが事前学習していない情報も回答できるようにする手法だ。
とりわけ、自社独自のデータを活用したい企業にとってRAGは有効なアプローチとなる。RAGを採用することで、社内の最新ナレッジを取り込んだAIアプリケーションの構築が可能となる。一方、RAGの導入には設計・実装の面で乗り越えるべき壁も多い。
LLMは基本的に、事前学習したデータのみに基づいて回答を生成する。学習時には、データセットから統計パターンを抽出し、それを数十億ものパラメーター(AIモデルの振る舞いを決定する変数)としてモデル内部に蓄積する。これらのパラメーターを用いて、LLMは「次に来る可能性が最も高い単語」を予測し、自然言語での回答を生成する。
一般的に、LLMは学習時点以降の情報や、企業独自の情報にアクセスする手段を持たない。いわば自己完結型の予測エンジンに過ぎず、外部との接点を持たない設計となっている。こうした制約を打破するのがRAGだ。リアルタイムで外部データにアクセスすることで、より正確かつ文脈に即した回答が可能になる。
RAGは以下3つのステップで構成される。
こうした仕組みにより、RAGはLLMが抱える以下の制約を克服する。
このようにさまざまな利点を持つRAGだが、企業が実運用に向けて導入を検討する際には、以下のような課題に直面する。
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