「機械学習」「人工知能」はこうして生まれた――AIの原点を探るAIがよく分かる「機械学習の歴史」【第2回】

半世紀以上にわたる機械学習の歴史は、どのように始まったのか。黎明期の1940年代から1950年代に焦点を当てて、機械学習の進化を解説する。

2024年11月08日 08時00分 公開
[Ron KarjianTechTarget]

関連キーワード

人工知能


 人工知能(AI)技術の中核として、半世紀以上にわたりその発展を支えてきたのが機械学習だ。機械学習はどのようにして誕生し、その後の技術革新につながる基礎が築かれたのか。黎明期を年代別に詳しく振り返る。

「機械学習」「人工知能」が生まれたのはいつ?

1943年

 論理学者のウォルター・ピッツ氏と神経生理学者のウォーレン・マカロック氏が、ニューラルネットワークの最初の数理モデルを発表。人間の思考プロセスを模倣するアルゴリズムの基礎を築いた。

1949年

 心理学者のドナルド・ヘッブ氏は「Organization of Behavior: A Neuropsychological Theory」(行動の機構)を出版し、機械学習の発展における重要な一歩を踏み出した。この本は、脳の活動がどのように行動や思考に影響するかを示し、それをニューラルネットワークの仕組みとして注目したものだ。

1950年

 数学者アラン・チューリング氏が論文「Computing Machinery and Intelligence」(計算する機械と知性)を発表し、「チューリングテスト」の概念を提案した。チューリングテストとは、プログラムが「知的であるかどうか」を判別するテストのことだ。「機械は人間のように考えることができるのか」という問いが本格的に取り上げられたことで、後のAI技術の研究開発の基礎が築かれた。

1951年

 コンピュータ科学者のマービン・ミンスキー氏とディーン・エドモンズ氏は、世界初と考えられている人工ニューラルネットワーク(ANN:Artificial Neural Network)である「Stochastic Neural Analog Reinforcement Calculator」(SNARC)を開発した。SNARCは、3000本の真空管を用いて40本のニューロンをシミュレーションした。

1952年

 コンピュータ科学者アーサー・サミュエル氏は、世界初と考えられている自己学習型プログラム「Samuel Checkers-Playing Program」を開発した。ゲームを自律的にプレイし、プレイを通して自らの戦略を改善する学習能力を備えていた。

1956年

 科学者のジョン・マッカーシー氏とマービン・ミンスキー氏、計算機科学者のナサニエル・ロチェスター氏、電気工学者クロード・シャノン氏は、研究発表会で「Artificial Intelligence」(人工知能)という用語を生み出した。

 同年、研究者のアレン・ニューウェル氏、学者のハーバート・サイモン氏、プログラマーのクリフ・ショー氏が、人間の推論能力を真似するよう意図的に設計された、世界初と考えられているAIプログラム「Logic Theorist」を開発した。


 次回は、1950年代から1970年代にかけての機械学習の発展を解説する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

技術文書・技術解説 Asana Japan株式会社

AI導入の現在地:知っておくべき6つのメリットと「2026年問題」とは?

労働力不足の解消や生産性の向上など、多くのメリットが見込める、職場へのAI導入。一方、LLM(大規模言語モデル)の学習データが枯渇する「2026年問題」が懸念されている点には注意が必要だ。それによる影響と、企業が取るべき対策とは?

市場調査・トレンド Asana Japan株式会社

AI活用がカギ、最新調査で読み解く日本企業がイノベーションを推進する方法

現代のビジネス環境下で企業が成長を続けるには「イノベーション」の推進が不可欠だ。最新調査で明らかになった日本企業におけるイノベーションの現状を基に、イノベーション推進の鍵を握るAI活用やベロシティ向上の重要性を解説する。

製品資料 SB C&S株式会社

ワンランク上の「AI+PDF」活用、生産性・効率を飛躍的に向上させる秘訣

今やビジネスを中心に、多様な場面でやりとりされているPDF。このPDFをより便利にするためには、文書の能動的な活用がポイントとなる。本資料では、アドビの生成AIを用いながら生産性や効率を飛躍的に向上させる活用方法を紹介する。

製品資料 AvePoint Japan株式会社

生成AIの落とし穴、“過剰共有”のリスクと防止策

適切に生成AIを使いこなすために、情報には「共有範囲」を設定することが重要となるが、管理が不十分だと“過剰共有”の状況が発生する。過剰共有は社内での情報漏えいにつながる可能性もあるため、十分な対策が必要となる。

製品資料 東京エレクトロン デバイス株式会社

生成AI活用の鍵、セキュリティと利便性を両立するための方法とは?

生成AIの活用には機密情報漏えいなどのリスクがあるため、利用を制限しているケースもある。しかし、完全に利用を制限してしまうと競合に後れを取る可能性がある。そこで重要なのが、セキュリティと利便性を両立できるような環境構築だ。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

繧「繧ッ繧サ繧ケ繝ゥ繝ウ繧ュ繝ウ繧ー

2025/04/23 UPDATE

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...