半世紀以上にわたる機械学習の歴史は、どのように始まったのか。黎明期の1940年代から1950年代に焦点を当てて、機械学習の進化を解説する。
人工知能(AI)技術の中核として、半世紀以上にわたりその発展を支えてきたのが機械学習だ。機械学習はどのようにして誕生し、その後の技術革新につながる基礎が築かれたのか。黎明期を年代別に詳しく振り返る。
論理学者のウォルター・ピッツ氏と神経生理学者のウォーレン・マカロック氏が、ニューラルネットワークの最初の数理モデルを発表。人間の思考プロセスを模倣するアルゴリズムの基礎を築いた。
心理学者のドナルド・ヘッブ氏は「Organization of Behavior: A Neuropsychological Theory」(行動の機構)を出版し、機械学習の発展における重要な一歩を踏み出した。この本は、脳の活動がどのように行動や思考に影響するかを示し、それをニューラルネットワークの仕組みとして注目したものだ。
数学者アラン・チューリング氏が論文「Computing Machinery and Intelligence」(計算する機械と知性)を発表し、「チューリングテスト」の概念を提案した。チューリングテストとは、プログラムが「知的であるかどうか」を判別するテストのことだ。「機械は人間のように考えることができるのか」という問いが本格的に取り上げられたことで、後のAI技術の研究開発の基礎が築かれた。
コンピュータ科学者のマービン・ミンスキー氏とディーン・エドモンズ氏は、世界初と考えられている人工ニューラルネットワーク(ANN:Artificial Neural Network)である「Stochastic Neural Analog Reinforcement Calculator」(SNARC)を開発した。SNARCは、3000本の真空管を用いて40本のニューロンをシミュレーションした。
コンピュータ科学者アーサー・サミュエル氏は、世界初と考えられている自己学習型プログラム「Samuel Checkers-Playing Program」を開発した。ゲームを自律的にプレイし、プレイを通して自らの戦略を改善する学習能力を備えていた。
科学者のジョン・マッカーシー氏とマービン・ミンスキー氏、計算機科学者のナサニエル・ロチェスター氏、電気工学者クロード・シャノン氏は、研究発表会で「Artificial Intelligence」(人工知能)という用語を生み出した。
同年、研究者のアレン・ニューウェル氏、学者のハーバート・サイモン氏、プログラマーのクリフ・ショー氏が、人間の推論能力を真似するよう意図的に設計された、世界初と考えられているAIプログラム「Logic Theorist」を開発した。
次回は、1950年代から1970年代にかけての機械学習の発展を解説する。
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