大規模言語モデル(LLM)が注目を集めるようになるまで、AI(人工知能)技術の分野ではさまざまな進化があった。その中から、LLMの進化との関わりが特に深い自然言語処理(NLP)モデルを紹介する。
大規模言語モデル(LLM)が世間の注目を浴びるようになったのはつい最近のことだが、その歴史は半世紀以上前にまでさかのぼる。半世紀以上前に登場したものを含めて、現代のLLMの基礎となった自然言語処理(NLP)モデルを3つ紹介する。
1960年代に開発された自然言語処理プログラム「ELIZA」は、AI(人工知能)チャットbotの元祖とも言える。開発者であるジョセフ・ワイゼンバウム氏は、マサチューセッツ工科大学(MIT:Massachusetts Institute of Technology)の教授を務め、計算とAIの限界に関する書籍「Computer Power and Human Reason: From Judgement to Calculation」を執筆している。
ELIZAは簡単な「パターンマッチング」(データから文字列といったパターンを特定し、似ているパターンを探す方式)技術と置換規則を用いて回答を出力する。ユーザーが入力した文章の特定のワードに重み(重要性)付けを適用し、それに応じた回答を出力することで、あたかもユーザーと会話しているような印象を与える。患者役のユーザーと、セラピスト役のELIZAが診断形式で対話するシミュレーションが有名だ。
Googleが2014年に発表した「Seq2Seq」(Sequence-to-Sequence)は、系列データを別の系列データに変換するモデルだ。自然言語処理の手法におけるブレイクスルーを果たした存在して評価されている。機械翻訳や画像説明、自然言語処理などに使われる。
Seq2Seqは、「エンコーダー」(データを数値表現に変換して意味を理解する仕組み)と「デコーダー」(エンコーダーで変換したデータを別形式のデータに変換する仕組み)を組み合わせて使用する。オープンソースLLM「LaMDA」やAmazon .comのLLM「AlexaTM 20B」などの基盤になっている。
2014年、機械学習手法「アテンションメカニズム」が登場する。これは、人間が何かに集中するように、コンピュータも重要な部分に注意を向けられるようにする方法だ。
2017年には、アテンションメカニズムの改良版である深層学習(ディープラーニング)モデルTransformerを、Googleの研究者が開発した。GPT(Generative Pre-trained Transformer)やBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)など、代表的なLLMのベースとなっている。
後編は、主要LLM19個のうち12~19個目を紹介する。
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