AI検索「ChatGPT Search」が登場しても「Google検索」が使われ続ける理由AI時代、検索市場の勢力図に変化?【第4回】

OpenAIのAI検索ツール「ChatGPT Search」が登場し、検索市場に君臨してきた「Google検索」との競争は新たな局面を迎えている。今後、検索市場の勢力図はどう変化していくのか。

2025年03月31日 08時00分 公開
[Sean Michael KernerTechTarget]

関連キーワード

人工知能 | Google | 検索 | 検索エンジン


 2024年10月、AI(人工知能)ベンダーOpenAIはAIチャットbot「ChatGPT」に検索エンジンを組み合わせた「ChatGPT Search」の提供を開始した。長年検索市場に君臨してきた「Google検索」が、ついにその座を奪われるのではとの見方もあったが、事はそれほど単純ではないようだ。

「ChatGPT Search」登場でも「Google検索」が使われ続ける理由

 ChatGPT Searchは、「OpenAI o1」「OpenAI o3」といった推論モデルをベースとして活用する。従来の検索エンジンがクエリ(検索文)に対してWebリンクを提示するのに対し、ChatGPT Searchは、自然言語インタフェースを通じてユーザーのクエリを処理し、複数の質問に対してコンテキスト(文脈)を維持しながら対話を継続できる。こうした技術的進歩により、検索市場の勢力図が変わる可能性も考えられる。

 それでは将来的に、今後、ChatGPT SearchはGoogle検索に取って代わるのだろうか。結論から言えば、少なくとも短期的には「ノー」だ。ChatGPT SearchがGoogle検索を完全に代替することにはならない。

 Google検索が依然として検索市場のトップであり続ける理由は幾つもある。

 まず1つ目の理由が、その圧倒的な情報網だ。Googleはユーザーのニーズに的確に応え、Webクローリング技術を駆使して膨大な情報を収集する。この情報網の広さは、ChatGPT検索の仕組みでは到底及ばない。ChatGPT Searchは大規模な学習データセットや、メディアパートナーと連携した情報網を駆使しているものの、Google検索のようにインターネット全体へのアクセスを持つわけではない。

 2つ目に、長年にわたりGoogle検索をデフォルトとして使い続けてきたユーザーの習慣を変えるのは、簡単なことではないということだ。とはいえ、ChatGPT Searchが一部の用途でGoogle検索を置き換える可能性はある。特に、直接的な回答を求めるユーザーにとって、ChatGPT Searchの対話型インタフェースは非常に有用だ。検索結果を要約して提示する能力にも優れており、情報収集の効率を高める可能性がある。

 今後の鍵を握るのは、Google検索の広範なインターネット検索機能にどこまで近づけるかだ。より多くの情報源へのアクセスを確保し、検索精度を向上させることができれば、その差を縮めることも十分に可能だ。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国Informa TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

市場調査・トレンド アイティメディア広告企画

AIツールを業務の効率化にどう生かす? 5つの業務別に活用のポイントを解説

多くの企業が人材不足やコストの課題に直面する中、限られたリソースでより多くの成果を挙げるためにAIツールの活用を検討している。AIツールはどのような業務に活用できるのか、本資料で詳しく解説する。

製品資料 株式会社ハイレゾ

生成AI開発におけるGPUの課題、その中身と解消に役立つクラウドサービスとは?

生成AI開発において重要な役割を担う「GPU」。需要が拡大する一方、VRAM不足やコストなどさまざまな課題が浮上している。そこで、生成AI開発におけるGPUの課題を確認しながら、解決策として期待されるGPUクラウドサービスを紹介する。

製品資料 アイティメディア広告企画

生成AIをビジネス活用する際に、押さえておくべきポイントとは?

さまざまな業界・業務領域で活用され始めている生成AI。生産性の向上やコストの削減などのメリットをもたらすが、生成AIの活用に当たっては品質面やセキュリティ面、運用面での課題に適切に対処していくことが重要となる。

製品資料 日本オラクル株式会社

業務アプリにAIを追加検討すべき理由5選:CXや製品開発はどう変わるのか?

ビジネスが急速に変化する今、その波に乗り遅れないためにもAI活用は有効な方法の1つかもしれない。業務アプリケーションにAIを追加することを検討すべき5つの理由と、AIを組み込んだアプリケーションで組織を最適化する方法を解説する。

事例 発注ナビ株式会社

AI活用を阻むリソース不足をどう解消する? 事例に学ぶ上手な補完方法

AI活用が増加する一方、知識や人材の不足から導入に踏み切れない企業も多い。本資料で紹介する大津屋は、画像認識を用いたAI総菜会計システムを構築し、レジ業務の短縮化を実現している。どのように取り組みを進めていったのだろうか。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news253.jpg

「AIエージェント」はデジタルマーケティングをどう高度化するのか
電通デジタルはAIを活用したマーケティングソリューションブランド「∞AI」の大型アップ...