企業においてVMは仮想デスクトップなどのシステムの根幹を成す存在だ。どのような仕組みでVMは稼働し、どのようなメリットをもたらすのか。
仮想マシン(VM)は、エンドユーザーごとのデスクトップを物理マシンや他のエンドユーザーのデスクトップと分離する機能を提供する。こうした構造が一概にセキュリティを強化するという考え方は誤解だ。IT管理者はVMを導入する前に、VMの動作原理と安全性を十分に理解しなければならない。そのために、まずはVMの仕組みをおさらいしよう。
VMはクラウドベンダーのサーバや企業内の仮想デスクトップインフラ(VDI)、エンドユーザーのデスクトップPCなど、さまざまな種類のホストマシンで動作する。ホストマシンで動作するVMはゲストと呼ばれる。ホストマシンの種類に関係なく、1台のホストマシン内で複数のVMを同時に稼働させることができる。ホストマシンでVMを稼働させるためのソフトウェアを「ハイパーバイザー」と呼び、CPUやメモリといったホストマシンのコンピューティングリソースをVMに割り当てる役割を持つ。
企業は、エンドユーザーが使用するVDIとして、自社の要件に合わせて構成、最適化したVMを運用していることが一般的だ。IT部門は、必要なアプリケーションやユーザー設定をあらかじめ組み込んだVMをまとめて用意し、エンドユーザーに配布する。これによって、すぐに利用可能な状態の仮想デスクトップをエンドユーザーに提供できる。
VMはホストマシンのコンピューティングリソースを使って稼働するので、VMを利用するためのクライアントデバイスは高度なコンピューティングリソースを必要としない。画面を表示するためのモニターと、操作のためのマウスやキーボードを備えていれば十分だ。そのためエンドユーザーは、自身のデスクトップPCやシンクライアントデバイスを使って仮想デスクトップを利用できる。
次回は、VMの安全性について解説する。
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